元mediba執行役員が改めて新規事業の打席に立ち、二項対立の突破に挑む!

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PdM_voice_岡さん

この記事は100人100色のプロダクトマネージャー(PdM)のリアルを知るためのインタビュー記事「PdM Voice」の連載第9回目の記事です。

今回は、元株式会社mediba執行役員CXOで現在フリーランスのCX/UXストラテジストとして複数企業の手伝いをされている岡 昌樹さん(@okamasakidayo)です。

岡さんは、エンジニアとしてキャリアをスタートされ、その後ヤフーでプロダクトマネージャーに転身され、Yahoo!ポータルアプリのリニューアルやYahoo!トップのタイムラインのパーソナライズ化の礎を築き、KDDIでのUXデザイン組織の担当やmedibaの執行役員CXOを歴任され、現在はポップインサイトなどで改めて自身が打席に立って新規事業立ち上げに挑戦されています。

華々しいキャリアの裏側にある考え方やマイルール、プロダクトマネージャーのミッションとして語っていただいている二項対立を突破する視点や大企業の中でも本質に向き合う姿勢など学びの多い記事になっていますので、ぜひご覧ください!

元mediba執行役員が改めて新規事業立ち上げの打席に立つ

Qまずはご自身の仕事について教えてください。

今年の3月まではKDDI子会社のmedibaの執行役員CXOをしていましたが、退任して今はフリーランスのCX/UXストラテジストとしてポップインサイトなど複数の企業の手伝いをしています。

昔ヤフーでプロダクトマネージャーをしていた頃は、アイディアを出せてプロダクトをそれなりにグロースも出来たので、自分自身がとても素晴らしいアイディアを出せる人(ヒットメーカー)だと思っていました。
しかし、実際には「アプリをすごく多く出す」「たくさん施策を作る」など、多く試行した内のいくつかがたまたま当たり、成果が出た経験をしているだけなのです。これは人より多くチャレンジして打席に立っただけの結果であり、100発100中のヒットメーカーではないということです。

medibaの執行役員をしていた頃に、部下から「岡さんが本気でプロダクトを作ったらすごいでしょうね。見てみたいです。」と言われたことがあったのですが、普通にプレッシャーに感じ「なぜ僕はヒットメーカーみたいフリをしているのだ?」と思いました。その時に「打率はそんなに高くない。打席に立つ回数が多いだけだ。」と気付き、『打席に立とう!』と心に決めました。

ということで、今は改めて自分が打席に立って新規事業(UXバンクや他にも2つほど)を作っています。自分自身で打席に立って、絶対に事業をグロースさせると決意しています。

現在行なっている取り組みの一部をご紹介します。

「UXバンク」
1,000本以上の動画からユーザーの行動やインサイトを分析できる月額制のユーザーリサーチ支援サービス
https://uxbank-pop.studio.design/

「UXよろず相談」
元ヤフー・KDDIのCX/UXストラテジストが貴社のUX導入・改善など、なんでも相談のります!
https://popinsight.jp/seminar/detail.php?id=139

【キャリア】ヤフーでエンジニアからPdMへ、プロダクトマネージャーとUXデザインがキャリアの中心に

QどのようなキャリアパスでPdMになったのでしょう?

プロダクトマネージャーとなったのはヤフーに入ってからで、それまではエンジニアやテクニカルディレクターをしていました。

2003年にカラオケの会社(株式会社第一興商)でのエンジニアとしてキャリアをスタートし、その後、2005年にモバイルコンテンツサービス事業とモバイルサイト構築などのソリューション事業を行う日本エンタープライズ株式会社に転職しました。
第一興商では自分が作ったものがどう使われているのかリアクションがわかりにくかったのですが、モバイルはサービスは自分が出したものに対して瞬間風速的にトラフィックが来て、少しバナーのサイズや画像のサイズを変えただけでコンバージョンが変わるというような、リリースした瞬間からリアクションがあるところに面白みを感じていました。少しずつプロダクトを分析し施策に落とすことに楽しみを覚えていきました

当時auがガラケーサイトにGoogleの検索窓を付けたタイミングで、モバイルSEOが始まりました。モバイルSEOにはまり始め、「着うた」というビックキーワードで1位を取るという経験があり、エンジニアリングとしてよりも、プロダクトのグロースやプロダクト全体が面白いと感じるようになりました。

その後、2008年にヤフーにエンジニアとして転職しました。2010年頃にスマートフォンが少しずつ普及してきていたタイミングで、エンジニアから企画にコンバートさせてもらい、Androidのアプリの立ち上げを行うようになりました。当時は爆速と言われる前のヤフーだったのですが、2ヶ月にアプリ1個ぐらいのペースで勝手気ままに作っては公開すると言う感じでやっていました。実はヤフージャパンのAndroidウィジェットやリアルタイム検索アプリも作りましたが、2ヶ月ぐらいで立ち上げています。

2012年にヤフーで経営刷新があり、そのタイミングでYahoo!ポータルアプリの責任者に抜擢していただきました。トップページを担当した経験は無かったのですが、アプリばかり作っているアプリに詳しい人がいるという感じでした。
そこから、20人から30人ぐらいの組織としてプロダクトマネジメントを行うようになりました。それまではエンジニアとデザイナーと3人でアプリを短期間で作ったり、10人以内の小規模なチームでの経験だったため、プロダクトマネージャーとして組織立ってものを作っていく経験として最も大きな転換となっています。

個人的にスマートフォンでポータルを使う意味が分からないと思っていたので、定量分析のみではなく、ユーザー調査を行い「顧客を知る」ことに力を入れて、顧客を起点にしながらYahoo!ポータルアプリのリニューアルやタイムラインでニュースをレコメンドするモジュールをリリースするなど様々なことを行いました。
それまでは定量ばかりやっていたのですが、そこから自分のキャリアの中で「プロダクトマネージャー」と「UXデザイン」が中心となっていきました。

2015年に子供が生まれたり家族の状況も変わったのでヤフーを去り、KDDI株式会社に転職しました。KDDIでは、あまりプロダクトマネジメントはしておらず、横断組織でUXデザインを担当していました。2018年にKDDI子会社の株式会社medibaの執行役員CXOになり、会社全体のものづくりプロセスを変えることなどをやっていました。

【実績】Yahoo!ポータルアプリのUU4倍・PV8倍など数々の成果

QYahoo!ポータルアプリのプロダクトマネージャーとして取り組まれた内容の詳細を教えてください。

Yahoo!ポータルアプリのリニューアルを行いました。ユーザーインタビューをもとにアイディアを出して作り上げていったのですが、結構うまくいきました。アクティブユーザーが4倍、ページビューが8倍ぐらいになりました。

また、これは上手くいったかと言われると微妙な部分もあるのですが、ヤフーのトップページは固いと思っていたので、面白くしたいと思い「bokete(ボケて)」を入れてみたりしました

他には、当時、国内のパーソナライズの先がけで、グノシーさんがアプリを出す前にまだメルマガでニュースを配信していたタイミングがあったのですが、私もメルマガを受け取っていて、「ぴったりなニュースが来るな。」と驚いたことを覚えています。
ヤフーでは、編集の人たちがニュースを選んで見出しを付けるというのをやっていて、これは負けると思いました
当時ヤフーのチーフモバイルオフィサーだった村上臣さん(現リンクトイン日本代表)に相談したら自社でもやろうという話になり、機械学習の「機」の字も知らない状態でしたが、よく分からず社内で人を集めまくってプロジェクトを立ち上げました。最終的にはヤフーTOPのトピックスの下のタイムラインでニュースをレコメンドするモジュールをリリースすることができました

Qヤフートップに「bokete」を入れたのは簡単に聞こえますが、社内調整など大変でしたか?

そうですね。作っているメンバーは楽しくというか、若者たちなので同じ感覚を持っているのですが、上位者からはなかなか理解が得られず、それこそ社長の宮坂さんからはリリースした後にすごく怒られました。覚えている会話があり、「こういうのは面白いと思うのですが」と話をすると、「面白くない。面白いとはそうではない。」と返されました。

認めてはくれませんでしたが、下げろとは言われず、最後は尊重していただけたと思っています。

QYahoo!トップのタイムライン化への移行は業績面での成果も大きかったと記事で拝見してますが、そのプロジェクトでしょうか?

先程、お話した内容は、UIをタイムラインにする前に行った、機械学習のエンジンの部分を開発するプロジェクトです。

業績面での成果についてですが、インフィード広告を入れるという意思決定やタイムラインにするタイミング、上にあるサービスメニューを削る等、様々な議論がありながら、かなり細かくユーザー体験の調整やABテストをしながらやっていました。

Q 当時、KPIとしては何を重視されていたのでしょうか?

P/Lも基本的には見ていましたが、当時は売上以上にスマートフォンアプリのデイリーアクティブユーザー(DAU)に重きを置いていました。
DAUを伸ばすために重視していたのは、リテンションカーブの部分です。1dayリテンションにフォーカスして、何%に改善するのかという目標を立てて施策を実施していました。

また、ニュースメディアというか、日々使うデイリーメディアだったので、MAU全体の中でのヘビーユーザー率も重視していました。

月間20日以上使うユーザーをヘビーユーザーと定義し、ヘビーユーザー率を高めるために、新規ユーザーをいかに定着させて、ヘビーユーザー化を促し、さらにリテンションを高めていくか、にフォーカスしながらやっていました。

【ミッション①】組織やプロダクトに関わる二項対立をいかに突破していくか

Q今の会社でのPdMのミッションを教えてください。

プロダクトマネージャーがやることは、プロダクトとユーザーに関わる全般だとは思うのですが、「組織やプロダクトに関わる二項対立をいかに突破していくか」がすごく大事だと思います。

「売上とユーザー体験」「エンジニアと企画」など、そういった二項対立構造が毎日のように起こっていますが、それを二項対立のまま捉えるのではなく【新しい第三の道】を築き上げていくことが大切だと考えています。

プロダクトマネジメント論でよく優先順位を付けるという話が出ますが、優先順位というよりは「両方の意見を改めて解釈していった時に、我々が目指すべきものを売上とユーザー体験だけではなく、別にところに見出してそれを再定義して行く」という作業をやる方が生産性が高く、プロダクトマネージャ-の本質的な仕事というか、すごく大事な仕事な気がします。どちらか優先順位をつければどちらかが負けてしまうので、そうではない形を模索し続けるようにしています。

Q過去に二項対立が発生して新しい第三の道を見出したエピソードがあれば教えてください。

最近、ポップインサイトを手伝い始めて2ヶ月くらいで「UXバンク」という1,000本以上の動画からユーザーの行動やインサイトを分析できる月額制のユーザーリサーチ支援サービスを立ち上げたのですが、そこでも二項対立の突破がありました

リサーチャーをオンラインで派遣してチームにジョインしてもらい、クライアントが顧客・顧客体験を知るところの支援をしています。
企業がUXリサーチ業務を委託しようと思うと、10人程度のインタビューとそれの分析などで数百万円程度の費用がかかってしまいます。

ユーザー調査やUXというものがだいぶ浸透してきており、世の中でUXリサーチが必要だと言う論調にはなってきていることもあって、現場では積極的にUXリサーチをやりたいというお話がよく出てくるのです。
しかし結局のところ、ROIが示せないとなってしまったり、定量データのみでユーザーのことは分かっているという風に考えていらっしゃる方も多く、UXリサーチは時間とコストの観点から断念してしまうケースを数多く見てきました。
また、元々はKDDIの社内でずっとやっていたのですが、UXについて何でも相談を受け付ける「UXよろず相談」をポップインサイトでは無料で社外の人からの相談も受けるようにして行っています。相談を受けている中で、一番のボトルネックは「時間とコスト」で、この二つがクライアントにとって、ユーザーを知ること(UXリサーチ)のハードルになっていることを痛感しました。だいたいUXリサーチの実施には2ヶ月以上かかり、数百万円程度の費用がかかります。

二項対立としては、時間とコストがかかる前提で「UXリサーチをする」と「UXリサーチをしない」となります。
これをもっと安価に短期間でやれないかと思ったのが、UXバンクを立ち上げる一つ目の思想になっています。

UXバンクを立ち上げるにあたり、まずはUXリサーチというものを分解してみました。

  1. どういう調査をするか設定する
  2. その調査の答えを与えてくれる人を集める
  3. (コロナの前は)現場に呼ぶ
  4. インタビューや行動観察をする
  5. データを分析する
  6. アウトプットとしてまとめる

といったプロセスがあります。

時間がかかる部分は、1.どういう調査をするか設計する、2.その調査の答えを与えてくれる人を集める、この二つの部分でだいたい1か月以上かかるのです。
この部分をカットしたいと思い、先にユーザー体験の動画が集まっているところから引き出せないかと考えました。そうすれば、ものの10分に短縮することができます。

もう一つ、この構想を実現する上で、コロナの影響もありました。
元々、スマートフォン画面の録画はiPhoneでもAndroidでも普通にできますが、画面の動画だけだと分析はできません。なぜユーザーがそこをクリックしたのか、どうやって何を探そうと思って、その行動をしているのかという意図が必要だったのです。
今までは、スマートフォンでセルフでやるにしてもカメラを貸し出して、端末に取り付けてもらい、PCと繋いで録音しながらやってもらう必要がありましたが、コロナ禍で一気にZoomが浸透しました。zoomの新規ミーティングを開いて、画面共有して、レコーディングをすれば、画面と音声の両方とも録れることに気付き、このタイミングでいけるかもしれないと思いました

そこで、先にシチュエーション(例えば、テイクアウトの店を探すというシチュエーション)だけ渡して、Zoomで普段やっている行動を思考発話をしながら10〜15分くらいで録画してもらい、データを送ってもらって報酬を数百円支払うというモデルでユーザー体験の動画を集めることを始めました

2ヶ月以上の期間と数百万円程度の費用を前提として「やる」か「やらない」かではなく、二項対立を突破するソリューションとして、まずは設計などはなくてもいいからユーザー体験を見ようという選択肢を作りました

Q過去にもこの二項対立を突破しようと試みたことはあるのでしょうか?

前々から「UXリサーチはもっと安価にできるのではないか?」「もっと手軽にやれるのではないか?」「ユーザー体験は楽に見れるのではないか?」と思っていましたが、今回ポップインサイトに入って、顧客を見ながら感じていた部分が一番強いです。

私自身は、やりたいことがすごくあるタイプではないのです。
自分では「欲泥棒」と呼んでいるのですが、ユーザーインタビューや顧客のインタビューなどを支援している中で、「この体験は良くないな」「これは絶対に変えた方がいい」という体験が目の前に現れると、それが自分が改善したいものや自分のやりたいことになってくるということがあります。チャレンジする領域になったり、新しく事業を作ってみたくなったり、とりあえずやってみます。
グノシーさんが出て来た時もまさにそうで、すごい体験を見た時にこのままだとヤバイというトリガーがあって、新たなチャレンジが生まれます。

起点はユーザーの負であることがほとんどで、その負を解消することにやる気が湧きます。そのため、ゲームやエンタメ系の事業は楽しいをもっと楽しい状態にするためのものなのであまり得意ではなく、あまりモチベーションも上がりません。

【ミッション②】大企業に流されることなく、本質に向き合う

Q過去のPdMとして行なった施策やキャリアの中での仕事の選択の時は、負に着目をした課題解決が多いのでしょうか?

ヤフー時代に、ポータルを担当しているのに「ポータルは死んでしまう、ホーム画面はニュース記事になるのではないか?」と考えていたのも、すごく変な意味で穿った見方だと思います。
負に着目するというか、「本来あるべきは何なのだろう?」といつも意識しています

例えば、KDDI時代に、「auサービストップ」と言うアプリがあるのですが、当時はauのポータルのWeb版とauのサービストップというポータルのアプリが存在している状態で、社内で互いに差別化しようとしていました。社内というのは面白くて、必ずみんなポジショニングが必要なのです。排他的であり、カニバることは非効率である、という概念モデルがあります。
私としては、この点について理解できず、顧客が「このアプリケーションに何を求めているか」で考えるべきだと思っていました。
auサービストップというのが、auのサービスのリンク集であるべきなのか、それとも顧客はポータルとしての役割を求めているのかで言うと、実際にリサーチもしていますが、自明であると思ったのです。
会社の中にいると、本質論ではなく、セグメンテーションやMECE(ミーシー)に分解して、「あなたのパートはここです」「こちらには入ってこないで」「僕らの仕事だから」「そのアプリケーションはあなたの仕事ではないからそれはやらないで」というような発言や態度を目にすることがあります。しかし、本質はそうではないでしょと言いたいです。

顧客がこのサービスに何を求めているかを理解することが大事で、無意味なポジショニングやカニバリみたいな概念はやめようと、常に向き合っている感じです。

Q大企業で本質に向き合うことが難しい場面もあったかと思いますが、どのように突破されてきましたか?

答えを持っているのはそもそも私ではなくて、顧客かもしれないと思っています。

そもそも顧客が自社のサービスやプロダクトに対して何を期待しているのか、どのようなメンタルモデルなのかを理解して、顧客の抱いている期待や感じていることに対して本質的に応えていけば、ある程度のあるべき姿というのはそんなにズレないかと思っています。
まずは、バイアスをとにかく取り払い、現状では顧客はどう感じているか、そしてもちろんそれだけではないので、顧客をどう導いて行けばいいのかを改めて再定義することが、ものすごく大事だと思います。

【業務領域】サービスやビジネスの構造上の類似性を考える

Qプロダクトマネジメントトライアングルを元に、具体的な業務範囲を教えてください。

岡さん_PdMトライアングル

開発者とビジネスの間の部分で言うと、過去にプロジェクトマネージャーをしていた頃にPMPを勉強したこともあり、プロジェクトマネジメントは好きですが、あまりプロダクトマネージャーになってこの領域は強く意識していないかもしれません。

リリース日などは、あまり厳守しないタイプです。あまり気にしていないと言うか、このリリース日にリリースしたら何が起こるのかよく分からないですし、リリース日よりも大事なことはあるので。

顧客とビジネス、顧客と開発者のこの二つの領域を注力している感じです。UXデザイン、データ分析、あとはBizDevのあたりを中心にやっています。
特に、サービスのアーキテクトや、ビジネスとしてどういう構造体であるかというところは、重点的に取り組んでいます

先ほどのUXバンクについても、これはどういうサービスなのかと深く考えます。構造上の類似性をアナロジーと言いますが、「今までものすごく高かったものが、ユーザーに先に投稿してもらって集めることによって完璧ではないけれども安く手に入るようになる」という点では、もしかしたら意識すべきはクックパッドのグロースなのではないか?と考えるのです。実際は少し違うなと思いながら、色々と悩むのですが。

「自分が作っているサービスは、構造上、過去のどんなサービスと似ているのか?」「どんなイノベーションを起こしたサービスと近しい構造上の変化を生み出そうとしているのか?」と言うところを考えるようにしています。それをすることによって、グロースの仕方を真似たり、初期の戦略を模倣することができます

【マイルール①】プロジェクト名はキャッチーに!

Q行動指針や大切にしているマイルールはありますか?

気づいたらマイルールになっていた部分ではありますが、プロジェクト名をちゃんと付けるようにしています。

現在コンサルティングなどを行う中で感じたり、過去も含めてですが、世の中には「リニューアルプロジェクト」というプロジェクトが多すぎると思います。リニューアルは目的でもゴールでも何でもないので、その目的やゴールを明確すべきだと思うのです。UIUX改善プロジェクトも同様です。

そういう背景もあり、プロジェクトにキャッチーな名前を付けることを意識的に行なっています。
プロジェクトは期間も長いことが多いので、絶対的に立ち返る場所が必要です。途中で絶対に迷いますし、このプロジェクトの目的は何だったのかと思うことも多々あります。
その時に、自分たちが目指しているユーザー体験はこれだ、このプロジェクトのゴールはこれだ、と話をしなければいけないので、キャッチーなプロジェクト名にすることでメンバーが自然とそれをやってくれるのです。

Q過去にどんなキャッチーな名前のプロジェクトがありましたか?

例えば、先ほどのKDDIの例で言うと、auサービストップというのをリニューアルする時にどんなアプリになりたいかと話をしていて、auユーザーが朝起きて最初にスマートフォンを開いた時に無意識でとりあえず開いてしまうアプリを目指すことでまとまったので、「とりあえず生(ビール)」みたいな感じで、「とりあえずサービストップ」と言うキャッチーなプロジェクト名を付けて進めていました。

特にキャッチーなプロジェクト名であることによって生まれるコミュニケーションがありまして、プロジェクトメンバーが他のメンバーとの会話の中で、「今。『とりあえずサービストップ』というプロジェクトやっていて」「それ何?」と聞かれると、自分の言葉で話さないといけなくなるので、勝手に目的や目指しているユーザー体験を言語化して理解度を上げていくことに繋がります。
リニューアルプロジェクトやUIUX改善プロジェクトでは、絶対生まれないやり取りです。

Qおもしろいですね!他にもキャッチーなプロジェクト名ありませんか?

先程ご紹介したヤフー時代の機械学習のプロジェクトは「Quriosity(キュリオシティ)」というプロジェクト名で行っていたのですが、キュリオシティ(Curiosity)は好奇心と言う意味で正しくはCから始まるのですが、好奇心はクエスチョンから生まれるという意味を込めて、頭文字をQに変えて「Quriosity」というプロジェクト名としました。
記事のパーソナライズを行うレコメンドロジックで機械学習を活用するにあたって、見た記事は好奇心の集まりで、検索クエリは疑問と解釈することができるので、「疑問から好奇心が湧いて、それに対してレコメンデーションがされていく」ということで、「Quriosity(キュリオシティ)」という名前をつけました。

【マイルール②】数値を可視化して、デプロイ数を上げる

Q他に大切にしているマイルールはありますか?

プロダクトマネジメントにおいてどこにフォーカスするかは重要だと考えていて、KPIマネジメントにおいて大切にしていることがあります。

グロースをしていくとCTRやCVRなど複利になりそうな部分に目がいくのですが、いつの間にかあまり複利にならない1%に取りつかれてしまい、ABテストを繰り返していたら最初のデザインに戻した方がよくなってしまうということがあります。
KPIマネジメントツリーを書く時には、コントローラブルなKPIの中で10倍にできるKPIは無いだろうかと探します。頑張れば絶対できるKPIがあると思います。

例えば速度もそうですし、変な話ですがデプロイ数などでもいいです。デプロイ数は絶対的に頑張れば上がります。ストレッチして頑張れば絶対にできるKPIにフォーカスして、徹底的に泥臭くやっていくことが大事です。やり切ることでチームとして達成感を得ることができるので、本質は外さないように気を付けながらよくやっています。

Q10倍にできるKPIにフォーカスして徹底的にやっていく際の工夫はありますか?

最初にやるのは、どんなプロダクトでも可視化です。

量的な可視化と質的な可視化を両方やってくのですが、だいたいグロースできていないプロダクトはダッシュボードがちゃんと整備されていない、KPIマネージメントツリーが揃っていない、結果指標しか見ていないなどの問題があります。

例えば、デイリーアクティブユーザー(DAU)や売り上げは結果指標でしかなく、それ自体はアプローチする指標ではなく原因指標にアプローチすべきなので、ダッシュボードに原因指標も含めて可視化をしていきながら、みんなでそれを確認していくようにしています。
また、ユーザーリサーチによって顧客とペルソナを明確にしていくことも合わせて行うことで、チームの中で共通意識ができ上がり「ここは10倍にできる」という実感が湧いてくるようになるのです。

一連の流れとしては、

  1. みんなが同じ土俵に立つ状態を作る
  2. 10倍にできるKPIを見つけて、やったらどんな世界が訪れるのかをみんなでイメージする
  3. 10倍にならなくても別に怒らないからと言ってやる

という感じです。

さらに、やっていく上では「デプロイに慣れさせる」ことを意識しています。
アジャイルでやっているところはいいのですが、デプロイが少ない所やリリースすること自体に恐怖心があるプロジェクトやプロダクトもあるので、デプロイ数を上げさせて、事故もしますが、慣れさせることを意識的に行なっています。
リリースすることへの恐怖心が無くなると、施策をどんどん出しても良いと言う感じにもなりますし、また施策を打って失敗しても怒られないという経験があるので、怒られ無いようにするための思考ではなく、失敗した物は仕方ないから自分たちが次に失敗しないためにと前向きな改善サイクルを回すことができるようになります。

「可視化して、デプロイ数を上げる」という一連の流れは、自分の中で一つの型になっています。

【挑戦】改めて自分で新規事業立ち上げの打席に立って、後世に伝える

Q今、挑戦していることはありますか?

冒頭でもお話しましたが、自身のキャリアを振り返った時に、人より多くチャレンジして打席に立ったことによって成果を出すことができたのであって、100発100中のヒットメーカーではないと気付いたことがありました。

自身の経験からの気付きもあり、みんなが打席立てる機会を増やしたい、打席に立つ人を増やしたいと思っています。

日本の企業は、打席に立たせず打率を上げろと言っている気がしており、これはほとんど不可能でかなり難易度が高いです。新規事業も何度も石橋叩かれて、アイディア検証などさせた上で結局出さないので、「出せよ」と思っています。笑

medibaの時には、「創る人をつくる」というミッションを自分の中では持っていて、ものづくりをちゃんと経験させたいと考えていました。その経験の中で失敗もするし成功もするし、打席に立ってものをつくる人が増えて行けば、サービスはグロースし、会社は成長すると思っています。medibaでは、新規サービス・新規事業のアイディアの検証として、数ヶ月間かけて作るのではなく、もっとライトにアイディアを検証するということを行なっていました。

今、チャレンジしていることは、改めて自分自身が打席に立って、絶対に事業をグロースすることです。
しっかりアイディア検証してピボットしてグロースするというのを、改めてもう1回やって、それを再現性がある形で、後世にちゃんと伝えていけるレベルまで自分の中でやろうと思っています。

Q将来的に挑戦したいことはありますか?

将来的にこれからやっていきたいのは、新規事業や新規サービス、普通に施策でもいいのですが、打席に立つ経験を提供していきたいと考えています。「サービスを作ること、プロダクトマネージメントはいいな」「サービスを作るのは楽しいな」「苦しい」でもいいのですが、そういう経験を若い人や多くの人に体験してもらいたいです。日本の企業の中で、そういうことはやりづらい状況で、誰も教えてくれない中で、そういったことをちゃんと伝えていきたいと思っています。

「UXバンク」は2ヶ月で立ち上げましたし、ユーザー体験の動画を最初に集めるのも簡単募集サービスのbosyuで行いました。
本当は300円でやりたかったのですがbosyuの最低報酬に合わせて500円にして、自分でマニュアルを書いて、まずは自腹で動画が集まるか検証を行いました。自腹でやった結果、コンテンツは集まることが分かったので、こういうのを考えていますがポップインサイトでやりませんか?と提案して、現在に至ります。

今はノーコード(プログラミングのコードを書かずにWebページやサイト等が作れる手法)もすごいですし、コードが書けなくてもLP(ランディングページ)を一枚作るだけであれば、フリー素材とテキストだけでも結構なデザインができるような状態になってきていますからね。
しかし、会社の中だとガバナンスなど色んなハードルがあって、アイディアが検証できず埋もれていってしまう、個人としても経験が得られないのです。
それなら、数千円や数万円でも自腹切って、取りあえずやってみよう!と思うわけです。

そういう発想を与えてくれる人や検証の方法を教えてサポートしてくれる人は必要だと思うので、企業に対しても、個人に対してもできるサポートをしていきたいと思います。

最後に

岡さん(@okamasakidayo)のお話はいかがでしたか?

華々しいキャリアの裏側にある考え方やマイルール(①プロジェクト名はキャッチーに!②数値を可視化して、デプロイ数を上げる)、プロダクトマネージャーのミッションとして語っていただいた二項対立を突破する視点や大企業の中でも本質に向き合う姿勢など、学びや気付きが得られたのではないでしょうか?

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