PMBOKとは?体系的な知識でプロジェクト成功確率を上げる

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PMBOKとは?

どうも、マツバラヤスユキ(@yaspontax)です。

この記事をお読みになられている方は、現在、プロジェクトに従事されており、何かしら問題や課題があり、改善したいとお考えなのではないでしょうか?

米国PMIが策定するプロジェクトマネジメントの知識体系であるPMBOKを習得して、プロジェクトを成功に導きましょう!

PMBOKとは?

PMBOKはProject Management Body Of Knowledgeの略で、プロジェクトマネジメントの知識体系です。ピンボックと読みます。

プロジェクトマネジメント協会(PMI)が発行する、「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド」(英語: A Guide to the Project Management Body of Knowledge、略称:PMBOK Guide、PMBOKガイド)にまとめられております。

PMBOKガイドは、国際的に標準とされているプロジェクトマネジメントの知識体系(ガイド、手法、メソドロジー、ベストプラクティス)であり、建設、製造、ソフトウェア開発などを含む幅広いプロジェクトに適用できるプロジェクトマネジメントの基盤を提供します。

簡単に表現すると、「プロジェクトに従事する先人たちがまとめたプロジェクトを成功に導く為のコツ(プロジェクトマネジメント手法)」です。

PMBOKガイドは、最初、1987年に米国PM学会によってホワイトペーパーとして出版されました。その目的は、広く適用できるプロジェクトマネジメントの情報や実践方法の、文書化と標準化でした。

1996年に初版が出版され、その後、2000年に第2版、2004年には大幅な変更を加えた第3版、2008年に第4版の英語版が出版され、他の言語版は2009年の後半に出版されました。2013年1月に最新の第5版(英語版)が出版されました。2017年9月6日にPMBOK® ガイド 第6版がリリースされました。

PMBOKガイドは、プロセスベースの体系であり、多数のプロセス(手順、処理)を実施することで目的を実現します。プロセスは、プロジェクトやその局面(フェーズ)の中で、重なり合い、相互に作用します。

PMBOKガイドの中では、プロセスは以下の用語で記述されます。

・インプット(ドキュメント、計画、設計など)
・ツールと技法(入力を処理するメカニズム)
・アウトプット(ドキュメント、製品など)

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プロジェクトの管理の手始めは、アナタ(リーダー)が、メンバーに信頼されること。優しすぎれば追従になる。上から目線だと反発される。媚びることなく、威張ることなく、ほどよく自然に、メンバーから信頼される具体的方法と、それを使う時期を述べます。

5個のプロセス群と10個の知識エリア

最新版のPMBOKガイド第6版では、49個のプロセスを、幅広いプロジェクトに適用可能な5個の基本的なプロセス群と10個の知識エリアとに分類されております。

5個のプロセス群

プロジェクトの立上げプロセス群(Initiating Process Group)
プロジェクトの計画プロセス群(Planning Process Group)
プロジェクトの実行プロセス群(Executing Process Group)
プロジェクトの監視・コントロール・プロセス群(Monitoring & Controlling Process Group)
プロジェクトの終結プロセス群(Closing Process Group)

10個の知識エリア

プロジェクト統合マネジメント
プロジェクト・スコープ・マネジメント
プロジェクト・スケジュール・マネジメント
プロジェクト・コスト・マネジメント
プロジェクト品質マネジメント
プロジェクト資源マネジメント
プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
プロジェクト・リスクマネジメント
プロジェクト調達マネジメント
プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント

10個の知識エリアは、プロジェクトマネジメントを効果的に達成するために必要なプロセスを含む。

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PMBOK第6版 49個のプロセス

立上げフェーズ 計画フェーズ 実行フェーズ 監視・コントロールフェーズ 終結フェーズ
統合マネジメント ・プロジェクト憲章の作成 ・プロジェクトマネジメント計画書の作成 ・プロジェクト作業の指揮・マネジメント

・プロジェクト知識のマネジメント

・プロジェクト作業の監視・コントロール

・統合変更管理

・プロジェクトやフェーズの終結
スコープマネジメント ・スコープマネジメントの計画

・要求事項の収集

・スコープの定義

・WBSの作成

・スコープの妥当性確認

・スコープのコントロール

スケジュールマネジメント ・スケジュールマネジメントの計画

・アクティビティの定義

・アクティビティの順序設定

・アクティビティ所要期間の見積り

・スケジュールの作成

・スケジュールのコントロール
コストマネジメント ・コストマネジメントの計画

・コストの見積り

・予算の設定

・コストのコントロール
品質マネジメント ・品質マネジメントの計画 ・品質のマネジメント ・品質コントロール
資源マネジメント ・資源マネジメントの計画

・アクティビティ資源の見積り

・資源の獲得

・チームの育成

・チームのマネジメント

・資源のコントロール
コミュニケーションマネジメント コミュニケーションマネジメントの計画 ・コミュニケーションのマネジメント ・コミュニケーションの監視
リスクマネジメント ・リスクマネジメントの計画

・リスクの特定

・リスクの定性的分析

・リスクの定量的分析

リスク対応の計画

・リスク対応策の実行 ・リスクの監視
調達マネジメント 調達マネジメントの計画 ・調達の実行 ・調達のコントロール
ステークホルダーマネジメント ステークホルダーエンゲージメントの計画 ・ステークホルダーエンゲージメントのマネジメント ・ステークホルダーエンゲージメントの監視

第6版の変更点(2018年3月26日以降)

PMBOK最新版の第6版での変更点を以下にまとめておきます。

アジャイルに関する内容の強化・拡充

PMBOK®ガイド内にアジャイルに関する内容が適宜記載されました。
プロジェクトをアジャイル型に移行するためのガイドとしてAgile Practice Guideの追加され、アジャイルの考え方、ライフサイクル選択に関する分析(何がアジャイルに向いているか)、アジャイル環境を構築し利用する際の考慮点、組織の考慮点などアジャイル型の概念が導入されました。

ビジネスアナリシスの重要度の拡大

プロジェクトをビジネス戦略に適合させることの重要性が語られ、「スコープマネジメント」の中に、ビジネス・アナリストとの関係が記載されました。

テーラリング(プロジェクトへの手法の適用)の大幅な拡張

プロジェクトマネジメントの技法やプロセスが増加しました。
プロジェクトに合せて各種マネジメント手法をカスタマイズして適用するためのテーラリングに関する考え方や、ビジネスの視点に立ってプロジェクトのベネフィット(便益)をマネジメントするための考え方などが大幅に拡張されました。

知識エリアの名称変更

第5版|プロジェクト・タイム・マネジメント → 第6版|プロジェクト・スケジュール・マネジメント

<変更内容>
時間(タイム)をマネジメントするのではなく、プロジェクト・スケジュールを定義しマネジメントする

第5版|プロジェクト人的資源マネジメント → 第6版|プロジェクト資源マネジメント

<変更内容>
チーム資源と物的資源の両方を取り扱うため、併せて『資源』とする

プロセス数の追加

第5版|プロセスの数『47』 → 第6版|プロセスの数『49』
<追加>
 4.4 プロジェクト知識のマネジメント
9.6 資源のコントロール
11.6 リスク対応策の実施
<削除>
 12.4 調達の終結(プロジェクトの終結に統合)

プロセスの名称変更

第5版|8.2 品質保証 → 第6版|8.2 品質のマネジメント

第5版|9.1 人的資源マネジメント計画 → 第6版|9.1 資源マネジメントの計画

第5版|9.2 プロジェクト・チーム編成 → 第6版|9.2 資源の獲得

第5版|9.3 プロジェクト・チーム育成 → 第6版|9.3 チームの育成

第5版|9.4 プロジェクト・チーム・マネジメント → 第6版|9.4 チームのマネジメント

第5版|10.3 コミュニケーション・コントロール → 第6版|10.3 コミュニケーションの監視

第5版|11.6 リスク・コントロール → 第6版|11.6 リスクの監視

第5版|13.2 ステークホルダー・マネジメント計画 → 第6版|13.2 ステークホルダー・エンゲージメントの計画

第5版|13.4 ステークホルダー・エンゲージメント・コントロール → 第6版|13.4 ステークホルダー・エンゲージメントの監視

PMBOKを習得した証PMPとは

PMP® とは、PMI 本部が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。

PMP® 試験は、PMI が策定した知識体系である PMBOK® (Project Management Body of Knowledge) ガイド に基づいて実施され、受験者のプロジェクトマネジメントに関する経験、教育、知識を測り、プロフェッショナルとしての確認を目的として実施されます。

PMP® 資格は、プロジェクトマネジメントに関する資格のデファクト・スタンダードとして広く認知されており、プロジェクトマネジメント・スキルの評価基準として、IT・建設をはじめとする多くの業界から注目されています。

以下にPMPの試験の受験資格や費用などについて書いた記事もありますので、ご興味のある方は御覧ください。

僕がPMP試験の勉強で使用したオススメテキストはコチラです。

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僕自身の意見として、経験と度胸と勘のみでプロジェクトマネジメントを行い、プロジェクトメンバーを不幸にしてはならない。経験と度胸と勘にプラスして、先人たちがまとめたプロジェクトを成功に導くコツ(体系的な知識)を習得し、プロジェクトメンバーを幸せにしなければならないと思います。

そもそもプロジェクトの定義ってなんだったか?という方もいるかと思いますので、簡単に解説させていただきます。



プロジェクトの定義

「独自のプロダクト,サービス,所産を創造するために実施される有期性の業務」と定義されています。

つまり、会社などの通常業務や、継続的な運用管理、あるいは改善活動などは、特に開始と終了が定義されていないため、「プロジェクト」とは呼ばない。ただし、特定の期限までに特定の建築を行う、製品を開発する、システムを構築する、などは個々のプロジェクトになりうる。

・・・分かりにくいですね。

2020年の東京オリンピックに向けて話題の『新国立競技場の建て替え』や月面着陸を果たした『NASAのアポロ計画』などが有名なプロジェクトとなりますが、どちらもその取り組みに「独自性」「期限」があることはご理解いただけるかと思いますが、そのような取り組みがプロジェクトとなります。

皆さんの周りでもプロジェクトと呼ぶことのできるものは多く存在します。

会社での新人歓迎会や忘年会、大学でのサークルの合宿、就職活動、彼女へのプロポーズ・結婚(以下の通り、僕もプロジェクトとして取り組んでいく予定)なども全てプロジェクトと呼ぶことができるでしょう。

それらプロジェクトに取り組む上で、誰もが失敗したくないと思うはず。その為、プロジェクトマネジメント知識体系であるPMBOKを習得することを検討してみても良いのではないでしょうか。

最後に

どの企業においてもプロジェクト活動は、そう呼ばれているものもいないものもありますが、数多く存在します。事業を立ち上げるフェーズも、立ち上げた後に成長させるフェーズも、廃止する際も、新規商品・サービス開発も、全てプロジェクトです。また、プロジェクトは行う企業や組織、行う人や関係者が異なれば、生き物のように全て特徴が異なります。

PMBOKを理解した上で、プロジェクトに取り組むことで、少しでも成功確率を上げることに役立つはずですので、ぜひ取り組んでみてください!

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ヌケモレ無いタスク管理を行う上で必須であるWBSの作成のしかたについてまとめた記事もよろしければご覧ください。

プロジェクトマネジメント以外の領域でも話題に上がるリスクマネジメントに関する記事はこちら。

PMBOKに対して、ウォーターフォール型開発への適用イメージが強いようですが、上述した通り、第6版においては色濃くアジャイル開発に関する記載がされております。PMBOKにおけるアジャイルの位置付けについて書いた記事はこちら。