今回は、delyでプロダクトマネージャー(以下、PM)を務める奥原 拓也さん(@okutaku0507)に仕事内容やキャリア、マイルールなどを伺った。
奥原さんは、現執行役員の柴田さんに誘われ、大学院を中退してdelyにジョインし、「クラシル」のエンジニア・開発組織のマネージャー・PM、「クラシルチラシ」のPMを歴任し、現在は「クラシルチラシ」の2度目のPMFに挑戦中である。
組織の成長に伴い、PMのミッションや事業戦略とプロダクト戦略に対する考えが変化してきたお話は、2度の新規プロダクト立ち上げ・グロースを経験し、身をもって体感されたからこそリアルであり、PMFと事業のマネタイズの観点が非常に学びある内容となっている。
また、「自分の考えは間違っている前提」「異常なまでにやり切る」というマイルールや、「ちょうどいい未来の解像度」と「やりたいことをやる」いいチームの秘訣、いい企画を作るために全ての選択肢を考えることが逆に効率的であるというお話も、参考になること間違いなし!
この記事は100人100色のプロダクトマネージャーのリアルを知るためのインタビュー記事「PdM Voice」の連載第36回目の記事である。
目次
delyで新規事業の「クラシルチラシ」のPM
PMノート マツバラ(以下、PMノート):まずはご自身の仕事について教えてください。
奥原:dely株式会社で自身が新規事業として立ち上げた「クラシルチラシ」のプロダクトマネージャーをしています。
「クラシルチラシ」は、3年ほど前に立ち上げ、「お買い得食材からレシピが探せる。」というコンセプトで、「クラシル」の中でチラシ機能を提供しています。
スーパーマーケット様を中心に、ドラッグストア様やホームセンター様の折込チラシをインターネット上で見ることができ、スーパーマーケットのチラシを見ながら「クラシル」でレシピを考えたり、お買い得な食材からレシピ提案を行うといったように、「クラシル」とユーザー体験を繋げて提供しています。
ビジネスモデルとしては、BtoBtoCのサービスとなっており、小売企業様から月額で掲載料金をいただいています。
PMノート:事業はどのような状況でしょうか?
奥原:おかげさまで、スーパーマーケット様からご好評いただいており、掲載店舗数はかなり伸びてきています。他のカテゴリーの企業様も含めて、全体で数万店舗の掲載をいただいています。それに伴って、売上も順調に伸びており、組織も拡大してきています。
PMノート:奥原さんは、現在どのようなロールを担われているのでしょうか?
奥原:プロダクトを0から立ち上げた時は、エンジニア兼プロダクトマネージャーを担当しました。比率としてはエンジニアリングの方が多かったかもしれないくらいで、エンジニアのバックグラウンドだったため、親和性が高かったです。
その後は、一時期はtoB・toC両方のプロダクトマネジメントを担当していましたが、組織の拡大に伴ってtoC側は新しいメンバーに引き継ぎ、僕はtoB側で小売企業様に向き合ってプロダクトマネジメントを行っています。プロダクトマネージャーという肩書きにはなるのですが、今でもコードを書いたりすることもあり、サーバサイドエンジニアも兼任しているような状態で、時期によってその比重を変動させながらやっています。
大学院を中退してdelyにジョインし、「クラシル」のエンジニア・PM、「クラシルチラシ」のPMを歴任
PMノート:続いて、これまでのキャリアについて教えてください。
奥原:
大学時代
大学では生物系を専攻していたのですが、友人と起業しようということになり、理系だからコード書けないか?という流れでプログラミングを勉強し始めたことが、僕のキャリアの分岐点になります。
それから、プログラミングにドハマりしてとても楽しくなりました。Ruby on Railsの教科書を購入したことがきっかけで、プログラミングの本を書かれていた方と繋がりを持ち、その方の受託会社でアルバイトをするようになり、約4年間お世話になりました。最終的には、プロジェクトを任せていただくなど、正社員のように働かせていただき、僕のプログラミングのキャリアのスタートになります。
その後、大学院にも進学し、そのまま進んで食品メーカーの研究職に就職するか、webエンジニアになるのか迷っていたのですが、弊社の執行役員である柴田さんに『delyに来ないか?』と誘っていただき、即日決意して退学届を出して翌日からdelyにジョインしました。
1社目(新卒入社):dely株式会社
入社して、「クラシル」のサーバーサイドのエンジニアをやり、1年ちょっとぐらいしてから、エンジニア兼開発組織のマネージャーを担当させていただき、その後、開発部の部長と「クラシル」のプロダクトマネージャーを兼任するようになりました。
約1年ほど経過して、「クラシル」を任せられる方が現れたこともあり、その方に権限移譲して、そのタイミングで新規事業を担当することになりました。
僕が開発担当で、他に戦略担当、セールス担当という3人で、「クラシルチラシ」の立ち上げを行いました。
少しして、開発チームが4,5人に拡大して、そのマネジメントとプロダクトマネージャーを両方やる期間が2年ほどあり、さらに組織が拡大したためプロダクトマネジメントをtoCとtoBで分業することになり、現在はtoB側のプロダクトマネジメントを専任で行っています。
キャリアを振り返ると、立ち上げが得意な方だと思います。さらに、不確実性が高く、組織も小さいところでパフォーマンスを出すことが得意だと思います。
PMノート:得意な領域について、自己理解を深くされていて素晴らしいと思いますが、どのように特定されたのでしょうか?定期的に振り返る習慣などをお持ちでしょうか?
奥原:日常的に自分をメタ認知(自分が物事を認知している状態を、客観的に認知している状態)で捉えるようにしています。
自分の向き不向きは、どうしても気持ちの面であると思っており、僕の場合は、組織化していく中で分割化された仕事をやることはちょっとつまらないと感じてしまいます。
言い換えると、自分のリソースを投下した時にどれだけの変化量があるかということが僕にとって重要な要素です。
また、「クラシル」を通じて実際に経験して知っているということも大きな要因です。「クラシル」が立ち上がって、30人程度の組織規模に成長するまでの過程を経験し、その後、新規事業の「クラシルチラシ」の立ち上げでまた1からの立ち上げを行い、順調に成長しています。
今後については、歳を重ねてきたことと、2度の立ち上げ期を経験し2回とも上手く成長させることができているので、
次のステップとしてはプロダクトマネージャーのマネジメントや、大きな開発組織全体のマネジメントにチャレンジしたいと思います。
PMノート:柴田さんとの出会いによってdelyに入社することになりましたが、どのようなきっかけで出会われたのでしょうか?
奥原:大学時代は、僕も自分でプロダクトを作っていたので、様々な人に会っていました。
その流れで、柴田さんは早稲田大学の先輩にあたり、在学中に起業されていたので、twitterで僕から声をかけさせていただき、一度お話をしたことがありました。
その後、時間が過ぎて、僕が大学院に入学して半年程経った頃に、delyがエンジニアを採用するとなり、僕のことを覚えていてくれたようでfacebookでご連絡をいただきました。
当時は五反田にオフィスがあったのですが、お茶した流れでオフィスに誘われて行き、共同創業者でCTOの大竹さんともお話をしました。
Webエンジニアになりたいと思いつつも、研究職に就くか悩んでいたタイミングでもあり、同い年の大竹さんや優秀な一個上の柴田さんがP&Gを入社から1年足らずで辞めてやっている姿を見て、僕もやらないといけないという気持ちにかられました。
また、今でも忘れられない堀江さんとの会話がありまして、『うちに来ない理由ってありますか?』と問われて、『ないですね。』と答えたら入社が決まっていました。
振り返ると、薄い繋がりがきっかけではあるのですが、今自分がこうしてやれているのは、そのおかげなので、そういった繋がりはすごい大事にしたいと思っています。
PMノート:ところで、大学時代に友人と起業しようとされていた時は、どんなプロダクトを作ろうとしていたのですか?
奥原:なかなか聞かれることがないので嬉しいです。
今で言うとPinterestやSumallyのようなキュレーションサービスを作ろうしていました。
結局、意見の不一致でやめることになったのですが、その後もすごい時間割の早稲田大学版を作ったりと、当時からプロダクト作りが好きで、挑戦して失敗してと繰り返していました。
組織の成長に伴い、PMのミッションや事業戦略とプロダクト戦略に対する考えが変化
PMノート:所属組織におけるPMのミッションは何でしょうか?
奥原:組織的に定義されている訳ではないのですが、僕の最近の理解のプロダクトマネジメントをお伝えします。
事業戦略とプロダクト戦略は分かれていて、事業戦略に則って、ユーザーやクライアントの課題解決を担うのが、プロダクトマネージャーであると考えています。
これが示すのは、組織が小さい時は、あまり区切りもなく、みんなで頑張るというか、事業戦略含めてみんなで頭を使って考えることが当たり前だと思っていました。
しかし、組織が成熟してくると、事業戦略を考えて責任をとる人、つまり事業責任者と、事業の中に所属するプロダクトマネージャーは別の人格が必要になり、事業戦略をユーザー解決という不確実性を担うプロダクト戦略を描いて、それを実行することを担うことが求められます。
さらに、セールス組織の広告出稿営業など、マネタイズみたいなものには責任は負わないのですが、セールス戦略とプロダクト戦略を接合し、顧客の課題解決に責任を持つ役割も担っていると考えています。
PMノート:組織の成長による考え方の変化にも触れていただき、とても興味深い内容です。そのお考えに至った背景には、どのようなご経験があるのでしょうか?
奥原:元々は、プロダクトの成功に対して責任を持つのがプロダクトマネージャーであると思っていました。
その上で、事業戦略を考える上では、社長など経営層も介在して決める必要がありますが、組織が成熟してくると、情報の非対称性まではいかないものの、どうしてもそのレイヤーで話し合われている中に入っていくには、事業責任者としての責任を持ってないとかなり難しいと感じました。
これについて、プロダクトが小さい時はみんなでディスカッションすることは多く、「クラシル」の立ち上げ期や「クラシルチラシ」の立ち上げ期は、みんなで議論しながら事業戦略を落とし込んでいきました。
しかし、新規立ち上げから3年目という現在のフェーズになってくると、組織も数十人規模になり、どうしても事業責任とプロダクト執行責任は分かれていきます。
また、組織によって異なると思いますが、プロダクト戦略から事業戦略にジャンプアップすることも結構難しさはあります。
そのため、「嫌われる勇気」に書いてあるような課題の分離をちゃんとした方が良いなと思っており、責任と管掌範囲が一致しているべきであると思いました。
自分が管掌できる範囲に対してはめちゃくちゃ自責であるべきだと考えていますが、事業成長に対しては、管掌範囲が重なってしまうとお見合いしたり、リソースが無駄になってしまったり、スピードが出ないことがあります。
それよりは、権限や責任範囲を切って、全体の調和を図りながら進むべきだと、過去の経験から考えました。
PMノート:「クラシル」や「クラシルチラシ」の立ち上げ時のお話をしていただきましたが、新規事業立ち上げフェーズにおいては、ミッションが異なるという考え方でしょうか?
奥原:同じ考えが適用できると思います。
というのも、立ち上げフェーズは、プロダクト戦略と事業戦略がだいたいイコールなのですよね。
プロダクトそのものがPMFしないと、事業として立ち行かないというか、グロースしていかないです。そのため、PMFあたりまでは、ユーザー課題やクライアント課題を解決すること自体が、事業戦略に近しいと思います。
PMFを迎えて、事業戦略としてマネタイズを進めるフェーズになると分かれてくるということだと思います。
メディアプロダクトを例にすると、プロダクト戦略はユーザー課題に寄り添ったものなので、プロダクトとしてはユーザーが求めているものや引きがあるコンテンツを集めることが課題となります。
それに対して、事業戦略としてマネタイズを進めるにあたって、広告で儲けようとすると、広告をどの枠に差し込むとか、どのような枠を設計するかみたいな検討になります。
その際に、できる限り純広告のように、ユーザー体験を邪魔しない設計をしようとしますが、アドネットワークの掲載なども事業的に判断することもあり得ます。
YouTubeで15秒間広告をスキップできないことで、ユーザーに不便を強いることもそうです。また、プレミアム機能について、ユーザーの利便性から考えたら絶対にバックグラウンド再生は全員に提供した方が良いのですが、マネタイズ(収益を上げて事業を存続する、次の事業に投資する)を考えた時には絶対にそうあるべきなのだと思います。
得意な領域は、0-1フェーズのプロダクトチームを率いたプロダクトマネジメント
PMノート:PMとして得意な領域について教えてください。
奥原:プロダクトを0から立ち上げたばかりの若いフェーズにおいて、プロダクトチームを率いてプロダクトマネジメントを実施することです。
その際の個人的な強みとしては、組織的に大変な状況でも、チームを鼓舞して前向きに一緒に頑張って行けるようなアイディアを考えて実行することが好きで、得意です。
それでみんなが笑顔になって、プロダクトや事業が成長して組織が大きくなっていくというのは、自分の楽しみだと思います。
さらに、一番得意なのは、エンジニアリングが噛んだ時なので、今のようにサーバーサイドエンジニア兼プロダクトマネージャーの状態が、一番馬力が出ると思っています。
PMノート:プロダクトマネジメントトライアングルを元に、具体的な業務範囲を教えてください。
奥原:開発者-ビジネス領域において、プロジェクトマネジメントとプロダクト仕様のところを中心に行っており、社内外調整/資源獲得はマネージャー時代と比べて、ピュアなプロダクトマネージャーになってあまりやらなくなりました。
また、顧客-開発者領域ではデータ分析や技術サポートを行っており、ビジネス-顧客領域ではビジネスディベロップメントに足を踏み入れて、伸ばそうとしている段階です。
例えば、お客様との商談に出て、お客さんが抱える問題に対する課題の深堀や技術的な知見をもってソリューションを提案して課題解決できるかどうか、それに対してお金を払えるかどうかのヒアリングなどを行っています。
学生時代からのプロダクトづくりと現役エンジニア経験で培われたProduct Executionスキル
PMノート:続いて、12PMコンピテンシーを用いて、奥原さんのスキルや強みについて掘り下げていきたいと思います。このフレームワークに基づいて奥原さんには事前に自己評価いただいたところ、Product Executionが最も高い結果となりましたが、強みはここでしょうか?
奥原:そうですね。
エンジニア経験があるからこそ、要件定義は詳細部分含めた話がかなりスピーディーにできるので、強みだと思います。
PMノート:エンジニア経験以外に、スキル開発に繋がった経験はありますでしょうか?
奥原:やっぱり学生の時から自分でプロダクト作りをしていることは活きていると思います。
エンジニアリングだけだと、ソリューションや技術的な話だけになってしまうのですが、それと顧客の課題を接合するということをずっと考えてきているので、「いつ、どういう技術で、どんなプロダクトを設計したら、顧客の課題解決がなされるだろうか?」という思考がベースになっています。
そういったところが、Product Executionに繋がっていてプロダクトを作っていくという点では強みになっており、一方でエンジニアとして技術的な深みを出しにくいという観点では弱みでもあるのですが。
PMノート:他にもProduct StrategyやInfluencing Peopleなどの領域もスコアが高いですが、スキル開発やそれに繋がった経験はありますでしょうか?
奥原:この2つの領域については、先ほどもお伝えしたように、小さい組織で若いプロダクトにおいては結構高く実行できている感覚があります。
「クラシル」と「クラシルチラシ」の2度のプロダクト立ち上げで、20人くらいまでの組織において、プロダクトチームを率いてプロダクトも事業も成長させることができたという成功体験があることが大きいです。
全てが順風満帆に進んだ訳ではなく、色んな苦難を乗り越えてきたこともあるので、要所要所に対応してきたことで成功パターンが分かってきた実感があります。
しかし、例えば100人規模の大きな組織で複数部署に別れており、プロダクトのフェーズも成熟期という状態でのリーダーシップの発揮は弱みだと思います。
課題は、「クラシルチラシ」の2度目のPMF
PMノート:現在、向き合っているプロダクト課題は何ですか?また、どのように解決しようとされていますか?
奥原:僕が担当している「クラシルチラシ」はBtoBtoCのサービスで、プロダクトとビジネスが結構一致しているケースなのですが、3年ぐらい運用してきて、世の中的にも言われているような何度もPMFするということを身をもって感じています。
初期ターゲットのスーパーマーケットにはPMFしているというか、一定受け入れられた状態となりますが、別のユーザーに受け入れられるには、まだ課題があると思っています。
当たり前ではあるのですが、業態によってビジネスの利益率も違えば、性質が異なり、課題も全然違います。
例えば、スーパーマーケットであれば、毎日行く人もいるぐらい来店頻度が高いですが、ホームセンターに毎日行く人は結構稀だと思いますし、都内では近所にないという人もいると思います。
そのような前提での販促において、クライアントがやっていることは結構あるのですが、そこにプロダクトを接合させると考えた時に、同じプロダクトでできたら良いのですがそうではないので、何か変化を入れて課題解決しつつビジネスに繋げていくことにチャレンジしています。
アクションとしては、顧客に会って話を聞くことを徹底しています。
商談に同席したり、こういう課題があるのではないか?という仮説をもとにセールスに相談してターゲット顧客にヒアリングに行くといったことを実施しています。
また、既に顧客が既存の販促施策として取り組まれている内容を把握しにいくことも欠かさずやっており、各社様のアプリやLINE公式アカウント、SNSなどは、めちゃくちゃインプットして、課題の仮説を想像するようにしています。
マイルールは、「自分の考えは間違っている前提」「異常なまでにやり切る」
PMノート:大切にしているマイルールを教えてください。
奥原:自分の考えは間違っているという前提に立っています。
自分はこう思ってるけど、相手はどう思っているだろうかと検証するイメージです。
昔は、僕はこう思ってるから、お前もこう思ってもってるはずだと思っていたのですが、ちゃんと相手のことを考えて価値を提供している時が、最もチームでパフォーマンスを出せている実感があります。
習慣的に自分の行動を客観的に振り返るようにしていますが、自分の中でモヤモヤすることや違和感みたいなものは、仕事をしていたらみんな感じるともいますが、寝たら忘れるではなく、必ず言語化するようにしています。
なぜ自分はこう思っているのか?どうしたら解決するのか?と考えて、自分が変えられることはその場で変えるようにしています。
ただし、自分ではどうしようもない問題もあり、変えられるのは自分の行動のみだという前提に立っています。
また、意思決定したことをやり切ることも大事にしています。
例えば、2022年の1月頃から英語を勉強し始めまして、約1時間くらいのオンライン英会話ですが、体調不良で熱が出た日も1日も欠かさずに毎日やっています。
自分でも異常だなと思うのですが、そういうのは得意というか、マイルールになっているんですよね。
他にも、子供が生まれて長生きしたいと思うようになり、健康のためにダイエットすることを決意しました。77kgぐらいだったのですが、絶対間食しないと決めて、66kgまで落としました。
PMノート:自分の行動や思考を振り返ったり、メタ認知する機会をどのように習慣化されているのでしょうか?
奥原:一般的には「ジャーナリング」と呼ばれて、書く瞑想にあたる行為となりますが、
自分が何かの壁にぶつかった時などに書くようにしています。
読み返すと、過去の記憶や感情がフラッシュバックするというか、この時期は辛かったとか、頑張っていたことを振り返ることができます。
PMノート:意思決定したことをやり遂げるまで貫き通すことが得意という点について、幼少期など昔からそうだったのか、社会人になってから身に付いたのか、どちらでしょうか?
奥原:幼少期からだと感じており、勉強に対しては、1日に十数時間もやっていた日もあり、自分の命を削ってやっていたと思います。
完璧主義な性格もあると思いますが、やるのであれば徹底的にやりたいと思います。
部活に対しても結構頑張ってやっていたのですが、なかなか結果には結びついておらず、身体的な能力は越えられない壁があると思います。どれだけ練習しても、関東レベルでは勝てても、全国大会では勝てないといった感じ。
しかし、勉強だったらやった分だけ勝てました。仕事やプログラミングも同じ感覚です。
そのため、プログラミングは食べることも寝ることも忘れて没頭して、気付いたら朝だったということもありました。
大学時代の研究でも同じように、普通の人はバイトもあるから2〜3日にかけてやるようなことを、ぶっ続けでやり続けたら今日中に終わるのであればやってしまいます。周りから見ると異常だと思われていたかもしれません。
これは、父が30代で亡くなっていることが原体験としてあり、人生に対する考え方に強く影響を与えていると思います。
僕は今年で30歳になるので、あと5年くらいしか生きられないと仮定したら、めちゃくちゃ頑張って生きないといけないと思ってます。
いいチームの秘訣は、「ちょうどいい未来の解像度」と「やりたいことをやる」
PMノート:いいチームを作るために工夫されていることはありますか?
奥原:みんなが一番乗っていたり、心がワクワクしている時は、未来を想像できる状態だと思っています。一方で、やることや将来が決まっている状態はワクワクしないんですよね。
これは、度合いがあると思っていて、あまりにも未来が見えない時は、みんな不安で心理的安全性がない状態になってしまうため、半年や1年先は見えているけど、その先は自分たちの頑張りによって、どれだけいい世界になるか可能性が無数にある状態(そこは決め切らず、あえて見通しが低い状態にしておく)が良いと考えています。
さらに、みんなで話し合って合意した中で自分ができることを活かしてやりたいことをやっていくことが、チームの生産性には寄与すると思います。
プログラミングの世界でよく言われることですが、生産性で見た時に1人に1万人が勝てない世界もあるのです。
馬力が最も出せることをチームのみんながやれる状態が、バリューが発揮しやすいチームだと思っています。
いい企画を作るために、全ての選択肢を考えることが逆に効率的である
PMノート:質の高い企画や課題に対して筋のいい打ち手を生み出すために、意識して取り組まれていることはありますか?
奥原:勝つために必要だと思っているのですが、全ての選択肢を考えるべきだと思っています。
非効率なアプローチなのですが、最終的には効率的になると思っています。
馬鹿げているようなこともひとまず土俵に乗せて、その上で優先順位を付けることを徹底しています。
その際に、チームで考えることも大事にしており、色んな尺度や解釈がある中で、自分の頭だけで考えるのはもったいないというか、納得感もないと思うのですよね。
チームが意思決定をしていく上で、今どういったことが課題で、どういったソリューションがあるのかまずは網羅的に出し、それをフラットに考えた中で優先順位を付けてやっていくようにしています。
また、一次情報にアクセスするようにしています。
それもあって僕はtwitterのフォロワーを伸ばしているのですが、このインタビューなど含めて、色んな人と話しやすくなっています。
やっぱりフォロワー数が多いことや、自分が話せる情報を持っていることは、情報のギブアンドテイクの意味でも繋がりを作りやすいです。
例えば、toBの管理画面をどうしていこうかなと考えるにあたって、twitterなどでの薄い繋がりを利用して一次情報にアクセスしています。
PMノート:非効率でも選択肢を全て出すと言うお話について、チームメンバーなどから『そこまでやる必要ありますか?』と言われたことはありませんか?目先の効率を優先したり、答えを早く求めるタイプのメンバーも中にはいるとは思います。
奥原:前提として、『僕が全部責任を負い、意思決定をします(責任と権限はセット)が、アイディアはください』と言ってやっており、あまり言われることはありません。
企画の段階やアイディアをメンバーのみんなから吸い上げるフェーズでは、たくさん出してもらい、これをまとめる作業がすごく大変ですが、そこは僕がやるようにしています。
そして、プロセスも含めて、アイディアを全て網羅して、『これだけみんなの中からアイディアが出てきましたが、その中で僕はこういう理由で優先順位をつけています。違和感があるなら教えてください。』と伝えるようにしています。
そうすると、違和感があれば言ってくれるので、目線合わせしながら進められていると思います。
奥原さんからのおすすめの本
PMノート:プロダクトマネージャーにおすすめの本がありましたらご紹介お願いします!
奥原:「「不確実性」超入門」ですが、絶対読んだほうがいいと思っている本で、不確実性に対する見方について書かれており、僕はめちゃくちゃ学びがあり、考え方の土台になりました。
また、働く上での人とのコミュニケーションは難しさがあると思いますが、自分と他者の感情や関心の分離を行う重要性などが書かれており、「他者と働く」は、何度も読み返しています。
最近面白かったのは、「「超」入門 失敗の本質」という本です。国際競争の中で日本がなぜ負けたのか?みたいなことや失敗の本質が分かりやすく書かれており、事業戦略とプロダクト戦略は違うという考えに至るきっかけになりました。
最後に
奥原さんのお話はいかがでしたか?
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PMノートではPdMインタビュー対象者を募集中!
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