WHYを突き詰め、LabTechで研究室の課題を解決するプロダクトへ

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今回は、株式会社POLでLabBaseのPdMをされている田中 達規さん(@tatsunori_ta)にお話を伺いました。

田中さんは新卒入社したリクルート住まいカンパニーで新規事業のPdMなどを経て、株式会社POLに入社されました。

大企業からベンチャーへ入社した田中さんが大切にしている考え方、普段の業務をどのように進めているのか、どんな悩みがあるのか、色んなお話が伺えましたので、是非ご覧ください!

この記事は100人100色のプロダクトマネージャー(PdM)のリアルを知るためのインタビュー記事「PdM Voice」の連載第2回目の記事です。
(文章:竹村 淳(@juntakemura_pdm))

LabTechスタートアップで理系学生向けスカウトサービスでPdMを担当

Q.まずはご自身の仕事について教えてください

株式会社POLという会社でLabBaseというプロダクトのPdMをしています。
POLは一言で表すとLabTechスタートアップです。
研究業界、研究者、研究室などを取り巻く課題をテクノロジーで解決しようとする会社ですね。
例えば、閉鎖的で情報の少ない研究室の情報流動性を上げたり、グローバルの産学連携を進めていったり、といったことをやろうとしています。
その中でLabBaseは、理系学生のLinkedinのようなプロダクトで、理系学生が自分の研究内容をプロフィールに記載すると、研究者を求めている企業からスカウトが届くというものです。

Q.どのようなキャリアパスでPdMになったのでしょう?

前職はリクルート住まいカンパニーに新卒で入社しました。
はじめはWEBディレクターとして、ディレクター業務やプロジェクトマネージャーをしており、入社4年目でPdMになりました。
と言っても、当時はまだ「プロダクトマネージャー」という用語が浸透していない時で、肩書きも「プロデューサー」というものでした。
そこから約3年間、新規事業のPdMなども経験し、今の会社に入社しました。

Q.前職でPdMになられたのですね。POLにもPdMとして入社されたのですか?

いえ、POLにははじめ新規事業メンバーとして入社しました。

実は入社時に、PdMとして入るか新規事業担当として入るか、という選択肢がありました。
代表取締役CEOの加茂さんとも相談したのですが、当時はまだ社員も10名ほど。
意思決定やデータ収集も十分にできており、PdMの必要性がそこまでなかったため、新規事業担当として入社しました。

Q.なるほど。いつ頃、どのような経緯でPdMになられたのでしょうか?

今の会社でPdMになったのは2019年5月です。
その頃には社員も35名ほどに増え、プロダクトの規模も大きくなり、プロダクトマネージャーの必要性が高まっていました。
そういった背景の中、社内でもPdMの経験があった私がPdMとして立つことになりました。

【ミッション・役割】何でも屋としてボトルネックの解消や落ちるボールを拾うこと

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Q.今の会社でのPdMのミッションを教えてください。

やはり一番はプロダクトの成功ですね。
今のプロダクトに置き換えると、リボン図でマッチングの質と量を高めること、つまり企業と学生のマッチングを増やすことです。

Q.その中で、業務範囲を教えてください。プロダクトマネジメントトライアングルに置き換えるとどの領域を担当することが多いですか?

今はDevelop(開発者)とBusiness(事業)の間が多いですね。
特にプロジェクトマネジメントの部分。
プロダクトチームに若いメンバーが多かったこと、チームが立ち上げて間もないこともあり、これまではサポートや組織作りに力を入れてきました。
ただし、それはその時の課題に応じて変わってくるものだと思います。

Q.では、例えば数ヶ月後は違う領域をやっていることもありそうですか?

その可能性が高いですね。

私が思うPdMの仕事は「この領域をやる」と決めず、ボトルネックになっているところを支える、落ちかけるボールを拾うことだと考えています。
ただし、以前全部をうまくやろうとして失敗したこともあったので、今は捨てるところと注力するところを決めて取り組んでいますね。

先ほど話したトライアングルでも、近いうちにDevelopers(開発者)とUsers(顧客)の間へシフトしたいと思っています。
Developmentはエンジニアの皆さんにお任せした方が良いと思ってますし、よりユーザ目線のプロダクトを作っていくのが根本的に大事でもあるので。

Q.具体的な業務内容についても教えてください。

Wantedlyにも載せているのですが、基本は「見立てる」「仕立てる」「動かす」の3軸があります。

「見立てる」でWhatにあたる計画を立て、
「仕立てる」でHowを定義し、
「動かす」でマーケも含めた実行をしていくという形です。

※引用元:https://www.wantedly.com/companies/pol/post_articles/184189

PdMは何でも屋だと思うので、基本はこれらすべてを担っています。
要件定義こそ意識してメンバーに任せていますが、リクルート時代と比べると、やることは格段に増えていますね。
今では簡単な分析をするために、SQLを自ら書くこともあります。リクルート時代には考えられませんでした。(笑)

【体制】組織のマネジメントも兼任しながら、エンジニアマネージャー・事業責任者と連携

Q.社内の体制についても教えてください。

社員でPdMなのは私1名です。

現在はプロダクト部(エンジニア・デザイナー・PdMが所属する組織)のマネージャーも兼任していて、エンジニアマネージャーと2名体制でマネジメントしています。
Whatに責任を持つのが私、Howに責任を持つのがエンジニアマネージャー、という形の役割分担です。

Q.プロダクト作りではどんな人と関わりながら進めていますか?

エンジニアマネージャーとは一番多く話しますね。
開発する上での要件定義や具体的な進め方は、エンジニアマネージャーとエンジニアで進めてもらっています。
私自身、要件定義を細かくしすぎてしまう癖があるため、意識的に要件定義から任せるようにしています。

また、事業責任者とはできるだけ話すようにしていますね。
忙しくてなかなか時間を共有することは難しいのですが…。

Q.事業責任者の方とはどのような話をするのですか?

今の会社でPdMをやり始めた当初は営業からの開発要望を整理することがメインでした。
元々営業文化が強いところもあり、プロダクトの戦略を立てるというより顧客要望を実装していくことが多い状態だったのです。
ただ、「プロダクトとしてどこを目指すべきかといった話も必要だよね」ということで、今年に入ってから事業責任者とそういった話をするようになりました。
事業責任者の方でストラテジーを作り、プロダクトのWhatにあたる部分は私が作るようにしています。
それをお互いにすり合わせながら、形にしていっていますね。

Q.開発チームとはどのように進めていますか?

どうしてもバグや営業要望は上がってくるので、工数の◯%まではバグ改修や要望系に当てます、と決めてやっていますね。
それ以外は四半期毎のやるべきことに注力しています。
あくまでも四半期のテーマは確実に進めることが大事という考え方です。

また、デザインプロセスではフロントエンドを先に作り始めて、並行してデザインを進めるというやり方も試しています。
この辺りはデザイナーやエンジニアがやりやすいやり方を模索しながらやっていますね。

【実績・野望】LabBaseを研究者・開発者・技術者の入り口になるグローバルサービスへ

Q.PdMとしての自慢できる実績はありますか?

この質問難しいですね…(笑)
私は「プロダクトをこうしたい」という方向でまず考えてしまうので、実績は後回しにしてしまう傾向があるんです。

過去の実績ではなく、今後の野望になってしまうのですが、LabBaseを研究者・開発者・技術者の入り口になるサービスにしたいですね。
具体的には、理系大学生・大学院生の95%が使う状態を成し遂げたいです。
「研究室入ったらLabBase登録するでしょ」みたいな。

さらにその先として、グローバルでマッチングが行き交うようにもしたいと思っています。
理系学生が海外の企業や組織からオファーを受けたり、逆に日本の企業が海外の学生を探したり。

とにかく学生にも企業にも選択肢を増やしてあげたいんですよね。
元々「理系学生が研究に忙しくてまともに就活できないまま就職を決めてしまう」という課題を解決するサービスなので、こういったところまで作り上げられたらいいなと思っています。

【行動指針】「誰の」「何のために」を考え抜く

Q.行動指針や大切にしていることはありますか?

「誰の」「何のために」を考え抜くようにしています。
リボン図のサービスって板挟みになりがちで、どちらか一方のためにしかならない機能や改修がよく出てきます。
ですが、私はどちらかのためにしかならないサービスはやらないと決めています。

Q.なるほど…すごく共感できますね。そのために意識して行っていることはありますか?

「なんのためにやるのか=WHY」をしっかり考えるようにしています。
「企業さんがこう言っているから」はNGで、その背景にある課題は何なのかまで必ず深掘りします。
そこに自分自身が納得できないと、エンジニアにも納得してもらえないので。

そこに通づるのですが、現地・現物を見るということも大切にしています。
「クライアント留学」と呼んでいるのですが、クライアントさんのところに行き、数時間〜丸一日張り付いてクライアントさんの業務を観察するということをして理解を深めていますね。
学生さんへのユーザーインタビューも行っています。

あと、SQLを自分で書いてデータを出したりもしていますね。
誰かに頼んでもいいんですけど、感覚を養う意味も含めて自分で出してしまうことが多いです。

【挑戦】コードに触れてものづくりの解像度を上げる

Q.今、挑戦していることはありますか?

土日にコードを書くようにしています。
私はエンジニア出身ではないので、どうしても動くイメージが持ちきれないことや、技術的に実現できることを自分の中で制限してしまっていることがあります。
自分の中で解像度高くイメージするためにも、コードに触れるのは大事かなと思いますね。

Q.5年後、どうなっていたいですか?

まず大前提として、プロダクトを成功させる。
その上で、自分が得た知見を他の人や後輩に共有していきたいです。
ナレッジを溜め、発信していき、PdMが育っていく環境を作りたいですね。
PdMの仕事は大好きなので、続けていきたいと思っています。
その先として、PdM組織を束ね、色んなプロダクトを育てていく仕事をしてみたいですね。

また、0→1のプロダクトを成功に導きたいです。
私はどちらかというと1→10の方が得意だと思っていますし、これまで0→1のプロジェクトはあまりうまくいかなかったのですが、なんとか成功させてユーザーさんの笑顔を見たいですね。

【悩み】グロース戦略、ストーリーテリング

Q.PdMとしての悩み、困りごとはある?

プロダクトのグロース戦略とKPI発見が難しいところです。
売上と相関するプロダクトの係数がなかなか見つからず悩んでいます。
色々試行錯誤しながら探している状態ですね。

また、個人的な悩みとしては、自分自身があまりビジョナリーでなく、数字を冷静に追ってしまうタイプなので、エンジニアから「ワクワクしない」と言われてしまうことですね。
PdM自体ビジョナリーな部分を求められるものですが、それに加えPOLではエモさを求められることが多いです。
サービスの立ち上げ時に、全国の研究室に足で回ってファンを作っていったような成り立ちを持つこともあって、エンジニアも「いいものを作ってやろう」という強い想いを持つ人が多いんです。

また、POL自体がバリューを重視していて、浸透もしている会社というのもあります。
例えば、「Growing together」=「みんなで成長しよう」という主旨のバリューがあるのですが、よく代表が「エベレストにみんなで高速に登ろう」といって、脱落しそうなメンバーにも手を伸ばす雰囲気ができていますし、バリューに即したメンバーを讃える文化もあります。
自分としてはできるだけビジョナリーに語れるよう、ストーリーテリングを勉強中ですね。

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元リクルートのPMが、なぜ『LabTech(研究×テクノロジー)』のPOLでプロダクトマネジャーをしているのか

【他のPdMに聞きたい】リアルな悩みを聞いてみたい

Q.他のPdMの人に聞きたいこと、語ってほしいことはありますか?

やっぱり悩みは聞きたいですね。
事業的な部分、トライアングルの中で難しい部分などを聞いてみたいです。
また、PdMって人と接する仕事なので、人と接する上での困りごとも聞いてみたいです。

最後に

田中さんのお話はいかがでしたか?

特に業務範囲が広くなるスタートアップのPdMにおいて、ボトルネックになっているところを支える、落ちかけるボールを拾うところに注力するという考え方は参考になるのではないでしょうか。

また、「誰の」「何のために」を考え抜く、クライアント留学でユーザー理解を深める、など、プロダクトを組織で進めていく上で大事なポイントも多く語っていただきました。

今回のインタビューを通して、田中さん自身も楽しんでお話しいただけたようで、嬉しく思います。

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