ステップチェンジに挑むSansanのVPoPから学ぶ!巨人の肩に乗り成果を最大化するヒント

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今回は、Sansanでプロダクトマネージャー(以下、PM)を務める西場 正浩さん(@m_nishiba)に仕事内容やキャリア、マイルールなどを伺った。

西場さんは、三菱UFJ銀行に入りクオンツとしてキャリアをスタートし、エムスリーで機械学習エンジニアからプロダクトマネージャーにジョブチェンジし、現在Sansanで執行役員/VPoE​/VPoPを務めている。

VPoPとして、Sansanのプロダクトマネジメントトライアングルの全領域を網羅的に担当する彼が、ステップチェンジを生み出すために、長期プロトタイピングの実現と既存プロダクトの磨き込みの両立に取り組む話は必見!また、テキストブック通りにやることをマイルールとしており、たくさんの本を読んで不足スキルを意識的にキャッチアップすることで、全スキルを高い水準で習得して実践しているからこそ、現在の役割を担うことができているのだろう。
ぜひこの記事から、巨人の肩に乗り成果を最大化するヒントを学んで欲しい!

この記事は100人100色のプロダクトマネージャーのリアルを知るためのインタビュー記事「PdM Voice」の連載第46回目の記事である。

Sansanで営業DXサービス「Sansan」のVPoPを務める

── まずはご自身の仕事について教えてください。

西場:Sansan株式会社で、名刺管理を超えた営業DXサービス「Sansan」のVPoP(Vice President of Product)を務めています。

私たちのプロダクトは、あらゆる顧客情報の営業活用を実現し、さまざまな営業課題の解決を後押しします。営業を強くするデータベースであり、営業活動に必要なデータを蓄積し、使いやすい形に加工でき、データを活用することで営業活動の効率化を図れるようになります。

昔は名刺管理サービス「Sansan」として知られており、名刺をスキャンしたりカメラで撮影することで自動でデータ化し、精度99.9%のデータを提供することを強みとしています。
名刺はビジネスシーンでの個人情報の提供に適した情報量であり、営業現場では非常に重要です。名刺をデータ化することで、誰と誰がいつつながったかという情報が会社全体で共有されます。同僚の引き出しを開けて名刺ホルダーを覗くことはハードルが高かったですが、クラウド化により名刺情報が容易に共有でき、営業活動の効率化が実現します。

また、今では、名刺情報に加えてメール情報や企業情報も統合し、さらに包括的な営業支援を提供しています。これにより、企業の業種や売上規模、従業員数などの情報にも簡単にアクセスできるようになりました。

── 他のプロダクトにも関与されているのでしょうか?

Sansan社内にはインボイス管理サービス「Bill One」や契約データベース「Contract One」など、複数のプロダクトがあり、CPO(CEOの寺田が兼任)の補佐として各VPoPと関わっています。

クオンツの経験を生かして機会学習エンジニアに転身し、その後プロダクトマネージャーになった

── 続いて、これまでのキャリアについて教えてください。

西場:

1社目(新卒入社):株式会社三菱UFJ銀行

コンピューターサイエンスと数学の応用である数理ファイナンスの分野で博士号を取得した後に、三菱UFJ銀行に入り、クオンツ(高度な数学的手法を用いてさまざまな市場を分析したり、さまざまな金融商品や投資戦略を分析したりすること、または、その分析をする人)として数理モデルのアルゴリズムを開発する仕事をしていました。
1年後にはチームリーダーとして、計算シミュレーションのためのエンジン開発を担当しました。

約4年間働き、30歳ぐらいの頃が、機械学習が流行り始めた時期でした。当時はまだ機械学習の領域で博士号を取得したスペシャリストは少なかったため、他の分野から参入しやすい状態で、これまでの経験を活かして機械学習エンジニアにジョブチェンジしようと転職先を探しました。
その結果、縁あってエムスリーへ転職しました。

2社目:エムスリー株式会社

エムスリーでは、機械学習エンジニアからスタートし、その後、チームリーダーやエンジニアリングマネージャーになりました。
エムスリーは非常に面白い会社で、機械学習をやっていても、利益貢献額を意識する必要があります。PoCをして終わりでは評価されないため、ビジネスインパクトを出さないといけません。
初めは、社内に機械学習で貢献できそうなネタがたくさんあったため、良さそうなものを選んでやっていきました。進めていくうちにネタが無くなってきてしまい、上司に相談したところ、ネタを作ろうということになりました。
ネタを作るためには、クライアントとディスカッションする必要があり、クライアントの課題を発見して、それを機械学習で解くことに取り組みました。
その際に、ジョブ理論を上司に教えてもらいました。機械学習が先にあるのではなく、ジョブがあってそのために機械学習を用いるといったように、機械学習をビジネスに役立てることに取り組むうちに、これがプロダクトマネジメントだよね、と実践を通して教わりました。なお、この当時の上司は、現エムスリーのCPO/VPoPの山崎さんです。

その後、本格的にプロダクトマネージャーをやることになり、新規アプリの立ち上げや既存プロダクトの立て直しに携わりました。その際は、プロダクトマネジメントを行いながら、自分でもコードを書き、採用やエンジニアリングマネージャー、クライアントワークなどの役割も担うといった感じで、なんでもやっていました。
最終的に、事業責任者としてプロダクトと事業を見るポジションにも就きました。合わせて約4年ほど働きました。

3社目:Sansan株式会社

より大きなエンジニア組織での経験を求め、Sansanに転職しました。
Sansanでは、研究開発部のマネージャーとして、社内の研究開発をプロダクトと捉えて上手くマネジメントすることに取り組みました。また、社内の横断的な取り組みや経営層へのさまざまな提案などを行っていった結果、技術本部全体(業務委託含めて約500名の組織)を担当しないかと打診され、VPoEを担うことになりました。
その後、Sansanのプロダクトマネジメントも担うようになり、現在はSansan事業部のVPoPを担当しています。

── 西場さんがVPoEやVPoPに就任される前は、別の方が兼任されていたのでしょうか。

西場:VPoEのポジションも、Sansan事業部のVPoPについても、私が入社した時点で空いていました。
これまでSansanのプロダクトに関する中長期の意思決定などについては、CEO 兼 CPOの寺田を中心に議論を交わしながら行っていました。

ミッションは、プロダクトビジョンを実現すること

── 所属組織におけるPMのミッションは何でしょうか?

西場:プロダクトマネージャーのミッションは、プロダクトのビジョンを実現することです。

プロダクトビジョンの達成状況はノーススターメトリック(NSM)で測っています。

また、NSMは人間中心にデザインされていて、顧客の課題を解決することがビジョンの達成につながっています。

── Sansanのプロダクトビジョンについて、可能な範囲で教えてください。

西場:具体的なプロダクトビジョンは外部には公開していませんが、我々のプロダクトは「営業を強くするデータベース」なので、いつでも誰でも簡単にデータを入れることができて、データが適切に管理・加工され、色んな角度で簡単に使えて、営業活動や自社のビジネスに活かせる状態を作る、といったようなビジョンを掲げています。

── ノーススターメトリック(NSM)についても、可能な範囲で教えてください。

西場:ユーザーに関わる内容なので詳細は割愛しますが、理想としてはデータの蓄積と営業活動への貢献度を追いかけたい。しかしながら営業活動に活きているかどうかについては、人間中心に設定することが難しく、我々では測ることが難しいです。
そのため、欧米のBtoB SaaSも参考にしながら、ユーザーがコストを払ってでもデータを入力しているかどうかという観点で見ており、個々のユーザーが一定量以上のデータを入力しているかという指標を設定しています。

Sansanのプロダクトマネジメントトライアングルの全領域を網羅的に担当

── プロダクトマネジメントトライアングルを基に、具体的な業務範囲を教えてください。

出典:The Product Management Triangle

西場:Sansanのプロダクトに対しては、全ての領域を網羅的に見ている状態です。
というのも、私は複数の役割を兼任しているからです。
初めに、VPoEとして開発組織全体を見ており、この中にはQA(Quality Assurance、品質保証)部門も含まれ、プロダクト品質の管理を担当しています。なお、ここでの品質とは、バグが多いといったことではなく、ユーザーに影響する悪い体験を対象としています。
次に、CPO室長兼CPO補佐を担当しており、ユーザーリサーチやプロダクトデザイナーの採用・評価、UIのレビューなどを務めています。
最後に、Sansan事業部の部長として、ビジネスに対する責任もあり、新規事業や新規の仮説検証の立ち上げにおいて、プロダクトマネジメントを担当しています。なお、カスタマーサクセス部とも強く連携し、解約率を極めて低く保つための取り組みも行っています。

不足スキルを意識的にキャッチアップすることで、全てを高い水準で習得し実践する

── 続いて、12PMコンピテンシーを用いて、西場さんのスキルや強みについて掘り下げていきたいと思います。このフレームワークに基づいて西場さんには事前に自己評価いただいたところ、全ての項目で高い結果となりました。この中で特に強みとされているのはどこでしょうか?

西場:全体的に、どの能力もバランスよく発揮していると感じています。特に強みを出すために無理やり強弱をつけるよりは、全体として均等に力を入れることを大切にしています。

具体的には、私は経営陣の一人として、経営戦略やプロダクトビジョンの作成に高いレベルで関与しています。また、Product Executionに関しても、VPoEとして全体に責任を負っています。Customer Insight、特にデータに関しても、私のバックグラウンドが機械学習やデータサイエンスであり、その分野においては非常に強いと自負しています。Product Strategyの目標管理やInfluencing Peopleにあるような要素についても、VPoEとして組織マネジメントのトップとして活動しています。

── 現在に至るまでに、どのようにスキル開発をされてきましたか?

西場:スキルに関しては、私は自分が足りないと思うところを意識的にキャッチアップしています。
リーダーシップが足りないと感じればリーダーシップを鍛え、上層部との関係性が足りなければそれを築くようにしています。目標管理が弱ければ、組織マネジメントに関する本を読みます。データに関しては、データサイエンスまでは難しいかもしれませんが、データを読む技術は身につけられると思っています。
このように、弱いと思う部分はキャッチアップしているため、結果的に各スキルのスコアに大きな差はないという状態です。

なぜ実現できるかと言うと、私は非常に多くの本を読むからです。
たくさんの本を読んで、そこに書かれている内容をそのまま実践しています。

例えば、リーダーシップは天性のものだという人もいるかもしれませんが、リーダーシップとはこういう風にすれば良いと書かれた本は世の中にたくさん売られているので、それを愚直にやっているだけです。
先日も、「西場さんは、結構ビジョンを語りますよね」と言われたのですが、開発組織のトップであるVPoEとしてどのように語るべきか、という観点で、サイモン・シネック氏の著書「WHYから始めよ! 」のフレームワークをベースにしています。そのためビジョンを語っているのではなく、「WHYから始めよ! 」をやっているだけとも言えるかもしれません。
このように私のやっていることはオリジナルではなく、本に忠実にやろうと心がけています。

プロダクトマネジメントについても、先ほどミッションのパートでお伝えしたプロダクトビジョンやNSMに関する話は「プロダクトマネジメントのすべて」に書かれていますし、LinkedInのシニアプロダクトマネージャーを務める曽根原さんが作成されたUdemy講座は全て見ており、そこで学習したことをそのまま取り入れています。

── シンプルなことですが、誰もができることではないと思います。そのスタンスはどこで身に付けられたのでしょうか?

西場:博士課程で磨かれた部分もありますが、小さい頃からそのやり方をしています。
特に数学が好きだったので、本に載っている公式や定義を活用して証明を解くことに取り組んできました。オリジナルの数学ができるのは本当の天才のみで、基本的にはテキストブックに書いてあることを積み重ねて新しいことを考えることになります。
そのせいか、テキストブックにとても忠実です。

── 本に書かれている内容を忠実に再現するという点を強調されていますが、手を抜いたり、面倒くさいと思われることはないのでしょうか?

西場:明確にやらなくていいと判断できる部分は省略しますが、面倒くさいと手を抜くことはありません。例えば、プロダクトビジョンが既に明確になっている場合、再考する必要がないと判断します。また、BtoBとBtoCの違いに応じて、不要な部分をカットすることもあります。

私が好きな話なのですが、「プロフェッショナル 仕事の流儀」の宮崎駿さん特集の中で、宮崎駿さんがひたすら「面倒くさい」と言いながら絵コンテを描き、「世の中の大事なことって、たいてい面倒くさいんだよ」と言っていました。
面白くて大切なことはみんなやっているので、差はつかないんですよね。だから、大切だけど面倒くさくてみんながやらないようなことが大事で、面倒くさいと感じたらこれは本質なのかなと思ったりします。

また、面倒くさい(本質的な)ことに取り組んで一時間経っても、あまり価値はないけどまあいいかと一時間経っても、どうせ働く時間は変わらないので、それなら本質的なことをやった方が楽しくないか、と社内でもよくメンバーに言っています。

── 他に本から学びを得るにあたって、何か意識していることはありますか?

西場:よく役割によって使う頭が違うと言われることがあります。プロダクトマネジメントとエンジニアリングなど。ニュアンスは理解できますが、私は、頭は一つしかないので、すべてがつながっていると考えるようにしており、異なる領域であっても、その知見を生かして全体を理解しようとします。
例えば、犬のしつけの本を読みながら、組織マネジメントについて考えるようなこともあります。
犬のしつけにおいて、褒める必要があるのですが、散歩の時に1mのリードだと犬がすぐに引っ張ってしまうので、全然褒められない。その場合は、10mのリードに変えることで、犬は10mも離れないので、紐がたわむようになり、褒めることができるようになります。
仕事において、メンバーに何かを任せた時に、結果がダメだったとしても良かったポイントを見つけて褒める(例えば、スタンスが良かったなど)みたいなことだと、よく分からないですよね。難易度やハードルを全て下げて、完全に上手くいった状態、つまり褒められる状態、つまり成功体験を作りにいくことが重要だということです。

ステップチェンジを生み出すために、長期プロトタイピングの実現と既存プロダクトの磨き込みを両立

── 現在、向き合っているプロダクト課題は何ですか?また、どのように解決しようとされていますか?

西場:現在の課題は、ステップチェンジを生み出すことです。Sansanは16年以上の歴史があり、初期のコンセプトを膨らませてきましたが、まだ成し遂げたいことが多くあります。
国内ではかなり売れているSaaSとして分類されますが、グローバル市場における存在感を強めることや、国内市場においてもまだまだ市場は広いと思っています。
というのは、プロダクトマーケットフィットしていない領域がまだまだ存在すると捉えています。
Sansanは全社員で使うことが前提となっているため、経理担当者や営業担当者など特定のペルソナが存在するのではなく、色んな人たちが使うサービスです。
そのため、ジョブに基づいてソリューションを提供するのですが、まだまだ広げられる余地は大きく、カスタマープロブレムフィットもまだできていない領域があると考えています。その後に、プロブレムソリューションフィットがあって、プロダクトマーケットフィットがあると思いますが、最初のアイディア出しのところからできていない領域がたくさんあります。
そのような前提で、大きなビジネスになるような、Sansanがやる意味がある領域を見つけなければならないと感じており、これがステップチェンジを生み出すことにつながります。

── ステップチェンジを生み出すために、具体的にどのように取り組まれていますか?

西場:プロダクト価値を上げていくような既存機能の磨き込みと、長期的(2、3年後)なプロトタイピングをロードマップとして扱い、その両方を同時に取り組んでいます。

長期的なプロタイピングには、顧客は誰で、課題は何で、このソリューションを弊社がやる優位性はどこにあり、プライシングはどうか、とリーンキャンバスにあるようなことを考えています。
そのリリースをきっかけに磨き込みは必ず必要になり、ステップチェンジを生み出すのはその2つの組み合わせなので、どちらかが大事という話ではなく、両方やらなきゃいけないと考えています。

なお、一般的にロードマップと呼ばれるような機能に関する開発計画は、ステップチェンジを生み出すための制約になってしまうため、出さないようにしています。

── 10名のPMが所属されているとのことですが、長期的なプロトタイピングの実現と既存プロダクトの磨き込みのリソース配分など、どのように役割分担されているのでしょうか?

西場:役割分担するとつまらなくなるし、やりたいことをやれば良いと考えているので、担当領域などは決めていません。
また、それぞれのキャリアを私がデザインする訳にはいかないので、個人に自由があります。

一方で、自由には責任が伴うため、3カ月サイクルの評価で管理しています。
自分が苦手なことをやらないとか、意味のないことをやっていたら評価されません。

なお、評価する際は、アウトカムだけではなく、アウトプットも見るようにしています。
PMメンバー自身が振り返りを行い、アウトカムやアウトプットを整理して、私に報告してもらっているのですが、その時点で本人たちは分かっているのですよね。
他の人に比べてアウトプットが多かった/少なかった、成果(アウトカム)が出た/出なかったと。

そもそも評価の目的は内省を促すためで、私がトップダウンで付けるというよりも、PMメンバーがアピールする必要があります。アピールができないとすると、成果が出てなかったという内省となり、成果を出すためにはどうしたらいいのかといった感じで、私はサポートや背中を押したり、言語化を促す役割になります。

マイルールは、テキストブック通りにやること

── 大切にしているマイルールを教えてください。

西場:先程もお話しましたが、テキストブック通りにやることです。

自分オリジナルで考えるよりも、巨人の肩に乗ることが大事だと思っています。
皆さんも、料理を作る時に、森に入っていって食べられるものを新しく探すことはしないですよね。先人たちの知恵によって、効率的で美味しく栄養を摂る方法は積み重ねられてきて、小麦やお米などの最強の食材があることが分かっているため、それを使います。

プロダクトマネジメントとして言語化され始めたのは最近かもしれませんが、昔から人間はものを作ってきています。ものづくりにおいてはニーズがあるところに対して作ったものが生き残ってきていると思いますが、そのような思考のフレームワークというのは昔から人間の頭の中には存在しており、現代において、例えば、ジョブ理論として体系化されていると思います。
また、組織マネジメントについても同様で、集団生活というものは遥か昔からあったので、人類が長年にわたって積み重ねてきた知見に基づいて行動する方が効率的だと考えています。
そのため、私はテキストブックに書かれた内容に忠実に従い、それを日々の業務に取り入れています。

いいチームの秘訣は「採用基準」「エッセンシャル思考」「最高を超える」の実践

── いいチームを作るために工夫されていることはありますか?

西場:いいチーム作りにおいて、私が特に重視しているのは以下の点です。

・明確なビジョンの設定:チーム全員が理解し、共感できるビジョンを掲げることで、目指すべき方向性を明確にします。
・共通言語の作成:チーム内に共通言語を作り、コミュニケーションの効率を高めます。
・互いに高い要求をし合う:メンバー同士がお互いに高いレベルを要求し合い、互いを高め合える環境を作ります。
・フォーカスの維持:チームが一点に集中できるようにフォーカスを維持し、目標に向かって進めます。
・基準の引き上げ:常に品質基準を上げ、チームがより高いレベルを目指せるようにします。

1点目の明確なビジョンの設定は、「採用基準  地頭より論理的思考力より大切なもの 」や「エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする」に書かれている内容を、リーダーシップの理想として参考にしています。

また、2〜5点目は、「最高を超える(AMP IT UP)」という本に書かれていた内容ですが、フランク・スルートマン(FRANK SLOOTMAN)氏はSnowflakeの会長兼CEOで、これまでも複数のSaaS企業を成功させており、そのアプローチを実践しています。

いい企画のコツはジョブ理論とデザイン思考の徹底

── 質の高い企画や課題に対して筋のいい打ち手を生み出すために、意識して取り組まれていることはありますか?

西場:ジョブ理論とデザイン思考を徹底しています。

これらはチームの共通言語として機能し、組織全体での理解と実践を促進しています。
例えば、社内異動でプロダクトマネージャーを採用するにあたって、面接前の事前課題として「ジョブ理論」などを読んできてくださいとお伝えしています。

また、日々の業務においても、プロダクトに関する重要な意思決定を行い、PRDのレビューなどを通じて、ジョブ理論(ジョブの特定など)やデザイン思考(課題の深堀や発散、ソリューション選定などダブルダイヤモンドの概念)が適切に適用されているかを確認しています。
これにより、チーム全体が共通の理解のもと、質の高い企画や筋の良い打ち手を生み出せるよう努めています。

西場さんからのおすすめの本

── プロダクトマネージャーにおすすめの本がありましたらご紹介お願いします!

西場:以下の3冊は、プロダクトマネージャーとしてのスキル(影響力といったソフト面と、組織の仕組みやマネジメントなどハード面)はもちろん、人生やキャリアに対する考え方にも影響を与える価値ある本です。

人を動かす
人間関係や組織マネジメントの基本を扱っています。プロダクトマネージャーは権威ではなく影響力で人を動かす必要があり、レポーティングラインがない中で色んな人を巻き込んでリーダーシップを発揮しなければいけないです。この本はその原点となる本だと思います。

ザ・ゴール
経営者が読むべきベストセラー書籍と言われています。企業の目的は利益を上げることなので、プロダクトマネジメントにおいてもやはり利益を上げることから逃げてはいけないと思います。利益を上げるために、役割が細分化される中での組織を構造的・システム的に捉えて、いかにプロダクトに関わる人たちを同じ方向に向けて、お金を払ってくれる顧客の課題を解決できるか、これに向き合うための制約思考や問題解決、システム思考、目標設定など組織を動かす上で重要なことがまとまっています。

モモ
時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語なのですが、時間管理や人間関係、イノベーション、短期と長期のトレードオフなど重要な概念が多く含まれています。子供向けの本なので理解しやすく、ビジネスや人生に多くの教訓を提供してくれます。

最後に

西場さんのお話はいかがでしたか?
感想や得られた気付き、気になったフレーズがありましたら、「#GrantyPM」を付けてツイートしてみてください〜!

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