今回は、エムスリー株式会社でプロダクトマネージャー(以下、PM)を務める岩田彬広さん(@ a___iwata)に仕事内容やキャリア、マイルールなどを伺った。
岩田さんは、新卒でアクセンチュアに入社し、システムの受託開発や新規事業のPoC支援などを経験した後、エムスリーに転職し、現在はエムスリー及びエムスリーグループ各社のプロダクトマネジメントに携わっている。
プロダクトの重要目標である売上・利益の達成に向けて、プロダクト作りに関わる様々なメンバーの思いを汲んで、目指す方向に導いていく姿が印象的な岩田さん。そんな彼が大事にしている「周囲の期待を超える」姿勢や「自分が面白いと思う仕事をすることで周りも面白いと熱狂できる状態にする」ことが、プロダクトの成功にどうかかわっているかは必見である。また、プロダクトビジョンの策定やスキル開発についての見解を、エムスリー取締役の山崎聡さんの言葉をはじめ、様々な引用を交えて独創的な発想で語っているので、その点もぜひ注目していただきたい。
この記事は100人100色のプロダクトマネージャーのリアルを知るためのインタビュー記事「PdM Voice」の連載第43回目の記事である。
目次
エムスリーおよびエムスリーグループ各社の各種プロダクトのマネジメントを支援
PMノート マツバラ(以下、PMノート):まずはご自身の仕事について教えてください。
岩田:医療情報関連サービスを提供しているエムスリー株式会社に勤めております。僕が所属するエンジニアリンググループでは10以上の既存プロダクトと年に数件以上新規に立ち上がるプロジェクトを抱えており、このうち僕は「医療ビッグデータ事業」という既存プロダクト1つを担当しています。
またその他にもエムスリーグループ各社へ技術支援や、グループ会社のCTO・CPO的なポジションでプロダクトマネジメントを行っております。
ITコンサルを経てエムスリーのPMとして参画
PMノート:続いて、これまでのキャリアについて教えてください。
岩田:新卒でアクセンチュア株式会社に入社し、クライアント企業のオンプレシステムの開発やデータ連携基盤のリプレイスといったSI領域の業務に従事していました。初めの4年間は受託開発に従事していたのですが、新規事業開発の支援に携わっていた同期の話に触発され、自ら手を挙げて、新規事業開発支援のチームに参画することができました。当時はちょうどNon-ITの事業会社がこぞってDXに関心を寄せるようになった時期で、アクセンチュアにも新規事業開発やPoC支援の引き合いが増えるようになりました。
しかし、ここで1つ課題が見つかりました。それは、コンサルタントとして新規事業の立ち上げを依頼されているにもかかわらず、僕自身が新規事業を立ち上げたことがないので、どうやって進めるべきなのか分からないということでした。そこで、アクセンチュアでの仕事と並行して、東京都立産業技術大学院大学で学ぶことにしました。
PMノート:大学院ではどのようなことを学んだのでしょうか?
岩田:1年目はコンピュータサイエンスを座学で学ぶことがメインで、2年目にリーン開発を実践するゼミに入り、1年間で3つのプロダクトを作りました。このプロダクト作りを通して、上手くいったことやこうすれば良かったという振り返りの機会を、プロダクトマネージャーとして働く前に経験することができたのは貴重なことだと感じました。
PMノート:その後、エムスリーに転職する決め手となったことと、入社後の取り組みについて教えてください。
岩田:ITを使った事業の立ち上げをもっと追求したいという思いから、プロダクトマネージャーを志すようになり、転職エージェントの紹介でエムスリーの選考を受けました。他社の面接も並行して受けていた中で、エムスリーのカジュアル面談で取締役(当時は執行役員)の山崎が45分にわたる自己紹介で「僕は15年以上プロダクトマネジメントをやってきた」という話などがとても印象深かったのもあり、内定を頂いた企業の中からエムスリーへの入社を決めました。
入社後、まずはじめに携わったのがクラウド電子カルテのプロダクトマネジメントでした。その後、「岩田さんにそろそろ他のプロダクトも任せたい」という声が上がって、医療ビッグデータ事業に携わり、その事業も安定的に伸びてきて、今度は他のエムスリーグループ会社にも携わるようになったというのが、現在までの経緯です。
PMノート:医療ビッグデータ事業が伸びたきっかけをどのように捉えていますでしょうか?
岩田:この事業はプロジェクト型でデリバリーしていて、一般的なSaaS事業のセオリーが当てはまるものではなく、PMとして確固たる成功体験を持ち合わせていなかったため、事業を成功させるための正攻法が分からないという特徴がありました。そのため、ひとつひとつのプロジェクトを愚直に遂行し、周りの期待を超えようとがむしゃらに取り組むしかないと考えていたので、成長できた秘訣はそこに尽きるかと思います。
PMノート:アクセンチュアでの経験が今でも活きていると感じる点はありますか?
岩田:やはり、ここ数年で物凄く伸びている業界に入るきっかけとなったのが大きいです。大学では文系学部に所属していたので、入社するまではIT業界に対するイメージもぼんやりとしていましたが、入社後は土日にずっとコンピュータを触って自主的に学習していくうちに、思いの外ITの世界にのめり込んでいきました。そしてだんだんと色々な開発を任されるようになって成長できたのは貴重な経験だったと思います。
PMノート:コンサル業界から事業会社に転職して感じたギャップはありましたか?
岩田:コンサルというよりも、受託開発と自社開発の違いというギャップはあると感じました。そのうち最も大きな違いは、意思決定を仰ぐ際の所作に現れるのではないでしょうか。
コンサルタントへ費用を払うお客様は、最終的に出来上がってくる成果物だけではなく担当コンサルタントの立ち振る舞いやプレゼンテーション・コミュニケーション力も込みでお金を支払っているという認識を持たれている場合が多いです。お客様へ何か意思決定を促すような提案をするときも「Aがいいと思います」と結論だけ持っていくのではなくて、「考えられるオプションはMECEに考えるとAとBとCで、◯◯の理由からAがいいと思います」といった丁寧なコミュニケーションが求められる印象です。
もし、受託エンジニアの経験しか持ち合わせていない場合、おそらくこのような所作があまり定着していないまま、ビジネスサイドと対峙することになっていたと思います。ただし、僕の場合はITコンサルの経験を通じて所作を学べたので、ビジネスサイドとの会話であまり困ることがなかった気がします。その点は大きなアドバンテージだったのではと感じています。
プロダクトビジョンを作るよりもプロダクトの成功に向けてチームをモチベートすることを重視
PMノート:所属組織におけるPMのミッションは何でしょうか?
岩田:PMとしてプロダクトを成功に導くために必要な意思決定や調整、マーケティング、開発などを実施することが挙げられます。そしてそれを実行するために、プロダクトチームを組成し、営業体制を整え、さらには採用、各チーム間調整、ロードマップの共有、目標調整など、組織を機能させる役割も担っています。
PMの振る舞いとして求められるのは、プロダクトや事業の意思決定の中心に立っていることがとても重視されている印象です。新規立ち上げでなく途中からPMとして参画する場合においても、「この人が居るからプロダクトが物凄く成長した」と認められるかが重要だと思っています。
PMノート:プロダクトビジョンの策定や戦略設計などにしっかり関与・実行推進している実績が評価されるということでしょうか?
岩田:評価される観点の1つだとは思います。ただ、ビジョンや戦略を立てるというのはプロダクトや事業を成長させる方法の一つでしかなく、プロダクトチームや営業が何かあったらPMに相談して、PMがそれに応えることでプロダクトや事業が成長していればそれで良いのでは?という印象があります。
ちなみに僕は、プロダクトビジョンを書いても陳腐化してしまうことが多いと感じるので、あまり書いていません。プロダクトチームが「さぁ、やるぞ!」という気概になって、成果の創出に向かっていることが重要ではないでしょうか。成果というのは最終的には売上・利益という目標の達成を意味しますが、PMとエンジニア・デザイナーとの目標達成に向けた意識の距離感をデザインすることについては物凄く考えていると思います。
PMノート:これまで様々なインタビューをする中で、プロダクトビジョンの策定にこだわりを持っていたり、得意としているPMが多かったので、今のお話はとても新鮮な印象を受けました。ちなみに、エムスリーさんのPMの方々には、そういった思考をされる方が多くいらっしゃるのでしょうか?
岩田:個人的な所感にはなりますが、山崎も含め、そういう方が多いと思います。また、僕自身がエンジニア出身ということもあってなのか「『プロダクトビジョンの策定が得意』というのは、定量的に言うと何なのか?」と考えてしまう性分なので、それよりも周りの人が盛り上がっていたりイキイキと働いているか、ということの方が指標として分かりやすいなと思っています。
PMノート:一方で、山崎さんが掲げている組織ビジョンのようなものはあるのでしょうか?
岩田:それはありますね。「インターネットを活用し、健康で楽しく長生きする人を一人でも増やし、不必要な医療コストを一円でも減らす」というエムスリーのミッションは全社的に大切にされていて、その上で山崎が管掌する部門のうち、エンジニアリンググループでは「ギークが世界を変える」ということを最近よく耳にしています。これは社内外に強く発信されている印象を受けています。
PMノート:具体的な業務内容を、プロダクトマネジメント ・トライアングルに照らし合わせて教えてください。
岩田:基本的には、このトライアングルで足りない部分を補うことがメインです。具体的には
- プロダクトやそれが使用するライブラリの仕様書を作成する
- プロダクトマーケティングを行い、リリースの反響をチェックし、それを開発陣へ届ける
- エンジニア組織のマネジメントと、採用面接を行う
- プロダクトの利用状況をデータから分析し、潜在ニーズや課題を探る
直近では、こうしたイチPMとしての動きに加え、他PMの支援が増えてきており、また更に直近では上記に加え、グループ会社の開発組織マネジメントと立ち上げを担当しています。トライアングルがどうとかいうより、目の前の現場で足りないものは何かを峻別し、補うことが主要ミッションだと考えています。
PMノート:かなり広範囲な活動をなさっている印象ですが、今後目指しているPM像があれば教えてください。
岩田:やはり、山崎がよく口にしている「年間利益50億円を作れるPMになる(参考記事はこちら)」というレベルには達したいですね!そのために、目の前の現場で必要とされていることや足りない所を補うこと、周りの期待を超えるようなアウトプット・アウトカムを創出するという思考を重視しています。
上手く行ったと思えるものを積み重ねること以上に、スキル開発に資するものは無い
PMノート:今回のインタビューに際して、事前アンケートでは、岩田さんがPMとして強みを持っている領域として「目標管理」や「ビジョン・ロードマップの策定」を挙げていらっしゃいました。このあたりについて詳しく教えていただけますでしょうか?
岩田:先程「プロダクトビジョンを書かない」と申し上げましたが、書かないだけであって言わないわけではありません。PMとして、周りの期待を超えて信頼を勝ち取ることを大切にしているのと同時に、エンジニア、デザイナー、営業、ビジネスなど様々な職種の社員が、自分の人生という限られた時間の一部を、このプロダクトに投下する価値があり、最良の投資であるというふうに思わせることは、PMが責任を負うものだと強く捉えています。
特に、エンジニアやデザイナーをそのように導いていけるのは、定量的なKGI/KPIを理解した上でプロダクトに反映させるというPMの強みであり、PMの存在意義だと思います。
PMノート:それはエムスリーさんに入社してから感じるようになったのでしょうか?
岩田:確かにエムスリーに入社してから強く感じるようになったのですが、元々自分自身が面白いと思わない仕事をしたくないと思っていますし、他人にもそういうふうに居てほしいと思うので、自然とやるようになったと思います。
PMノート:そのほかにもPMとしてのスキル開発を実践を通じて習得されてきたかと思いますが、特に印象深いエピソードなどあれば教えてください。
岩田:一番最初に参画した医療ビッグデータ事業は、3年で劇的にスケールした事業であり、それゆえに学びが最も大きかったと思います。
僕が好きな話で、タイトル戦で数々の勝利を収めたある有名な棋士が、メディアの記者に「タイトル戦で勝つ秘訣」を質問されると「それはタイトル戦で勝つことだ!」と良く口にしていた、というエピソードがあります。まさにその通りだと思っていて、失敗から学ぶことも一定数ありはするけども、やはり成功することから学ぶものに勝るものはないと感じています。法則やノウハウや秘訣そのものも大事だと思うのですが、それ以上に自分が上手く行ったと思えるものがあると、それが自分の拠り所となり、それを信じ込むことが大きなパワーに繋がっていくものだと思います。
だから、上手く行ったと思えるものを積み重ねること以上にスキル開発に資するものは無い。そのように僕は捉えています。なぜなら、スキルそのものは時と場合によっては矛盾したり陳腐化するものであり、困難を解決するには自信を持つことが必要だからです。
また、周りの期待を超えようというマインドも成功のために必要だと感じています。新しくジョインしたメンバーにも、早くそのマインドを持っていただくようデザインすることは組織作りで最も重要な秘訣であり、メンバーの成功を継続的に実現させることはマネージャーの仕事の9割くらい占めていると捉えています。
エムスリーで培われたプロダクトマーケティングとプロダクトデリバリーのコツ
PMノート:そのほか、プロダクトマーケティングも得意なポイントとして挙げてくださっていますが、何かコツをお持ちなのでしょうか?
岩田:プロダクトマーケティングに関しては、パターン数をできるだけ多く提示し、個々に刺さるマーケティングを実施するというのが現代のトレンドになってきていると思います。例えばiPhoneは、プロダクトとしてはiPhoneという1つのモノにすぎませんが、国や地域によって100〜200パターンの違った見せ方をしていますよね。ですから、「1つのプロダクトをどのように見せるのかは、自分が思っている100倍以上存在する」ということを忘れないことが大事だと考えています。
これは社内のメンバーとの向き合い方にも応用できることです。エンジニアのAさんとBさん、デザイナーのCさんとDさん、それぞれが思っていることや欲していることはてんでばらばら。そんな彼らと向き合う際に、彼らの人生の時間を無駄にしないために、どういうメッセージを投げかけるかと、メッセージのバリエーションを考えることは非常に大切にしています。
過去に、僕が1年間担当して成果が出せなかったプロダクトを山崎が巻き取ってすぐに売れるプロダクトになったという出来事がありました。その時、山崎が何を変えたかというと、マーケティングのバリエーションが物凄く膨大だったという点でした。見せ方のバリエーションを多く持つという発想に至った経緯は、こうした出来事が原体験になったのだと思います。
PMノート:プロダクトバックログ管理について意識していることはありますか?
岩田:これは山崎が各所でよく言っている「『八百屋理論』と『F1理論』」に通じるのですが、プロダクトがマーケットフィットすると、人はなぜか売上や利益の達成と遠いことをやってしまう性質があると捉えています。そうではなくて、売上や利益の達成に直結する取り組みを愚直にやろうというのが、我々のプロダクトバックログ管理の基本的な考え方です。
他のPMが担当するあるプロダクトを支援した時の例を挙げると、そのBtoBプロダクトは10施設ほど売ることに成功したのですが、僕がPMに次やることは何かを問うと「100施設に売るために必要な運用改善をしていきたい」と答えたのです。一方、「なぜ10施設に売れたのか」「10施設はどういう点を評価しているのか」について、そのPMは答えることができませんでした。そして、プロダクトを契約したその10施設に対してユーザーインタビューを行った結果、各施設で評価している点もある一方で、不満に思っている点も多く挙がってきたのです。そうなると、次にやることは100施設に売ることではないと分かりますよね。
したがって、プロダクトの売上や利益という重要指標に近いところをプロダクトチームが遂行するように力学を働かせることが重要だと考えています。中間指標を置くことは売上や利益の達成という目標から遠ざけてしまう副作用を生むことがあるので注意が必要です。
マイルールは「周りの期待を超える」ことと「クリエイターを信じる」こと
PMノート:大切にしているマイルールを教えてください。
岩田:先程の繰り返しになりますが、相手の期待を超えるというマインドはとても大事にしています。具体的には、プロダクトやプロジェクトの成功に重要なQCDのうち、QualityとCostで期待を超えようとするのは至難の業なので、Deliveryで期待を超えることを考えるようにしています。その際にテクノロジーバックグラウンドを有していることはアドバンテージになっていると感じます。
また、エンジニアやデザイナーといったクリエイターの時間を無駄にしたくないという話にも通じますが、彼らに仕事を任せたら最後まで彼らを信じ、全力でサポートすることを心掛けています。
プロダクトを成功に導くために、信じるべきことを信じ、時には必要な犠牲を払うこともある
PMノート:いいチームを作るために工夫されていることはありますか?
岩田:ビジネス上の目標を達成し結果を残すことを念頭に置いて、誠実さを心掛け、自分自身もその目標達成に向けて勉強を怠らない真剣な姿を周囲に示すことを意識しています。
また、目標達成のためには必要な犠牲を払うことも認識する必要があります。というのは、メンバーや業務委託の方の離任はプロダクトの成長過程で必ずと言っていいほど向き合わなければなりません。「ついていけない」という理由で離れるケースも少なからずあり、もちろんそういうメンバーの声に耳を傾けることはしますが、やはり大切にすべきなのは僕を信じてついていこうとする残ったメンバーだと思っています。とはいえ、人との別れはできるだけしたくないので、ドライに接するのではなく、別れることになったら最後まで責任を持って見送るのが大事だと思っています。
周囲に真剣な姿を示すというのも、実は上述の話と表裏一体です。「僕はこういう価値観を持っている人と働くんだ」というある種のメッセージだと言い換えることができると思います。
意図的に公私混同をすることで自分が面白いと感じる状況を生み出す
PMノート:質の高い企画を生み出すために工夫していることはありますか?
岩田:「重力に乗ること」だと思っています。(引用元: 「世界は落下している」sudoken blog)
例えば、「現在のマーケティング業務がデータをそれほど必要とせず回せていたとしても、数年〜数十年後にはマーケティング業務のほぼ全てがデータ駆動になっているはずだ」ということが確信だと思ったらとことん信じてプロダクト作りに反映していこうと考えています。
また、一見不可解に見えるユーザーの行動にも必ず合理的な理由があると信じ込むことも大事ですね。我々にとってユーザーとは医療従事者なので、彼らのことをよく知る必要があるのですが、我々が予期しないシチュエーションでストレスになっているのを目にすることがあります。それを不可解だとかユーザーの怠慢だとかで処理するのではなく、なぜストレスを抱えているのか理解しようと努めるようにしています。
PMノート:PMとして岩田さんが実現したい世界観やビジョンについて教えていただけますでしょうか?
岩田:そもそもPMはプロダクトチームに属するクリエイター達を熱狂させることが責務であり、そのためには自分自身が面白いと思うことが必要だと捉えています。そして、自分が面白いと思えるようにするには、「意図的に公私混同を起こす」ことも重要だと思っています。
医療ビッグデータ事業については、物事がデータ駆動で、まるでピタゴラスイッチのように動いているのが美しい世界だなと感じており、そういう世界観を早く作りたいと思っています。他の事業についても、データとアルゴリズムが持つ力を信じて取り組み続けたいと思っています。
より抽象的には、テクノロジーの力で人間の行動変容を促し、人々の寿命を伸ばしたいという思いを持っています。そのように思い至った経緯として、僕はライザップの取り組みに大きな影響を受けました。
そもそも、医療も含めて現代社会における課題は、テクニカルに解けることはほとんど解き尽くされていて、残っている課題は、地球温暖化のようなトレードオフが必要なものぐらいだと思っています。
医療においては高血圧や生活習慣病がわかりやすく、どんなに最新の薬や治療を施したとしても、人間が食事や運動などのように何か犠牲を払わないと改善されません。そしてこうした課題を解くのはテクノロジーが最も苦手としている分野なのですが、ライザップはテクノロジーも駆使して1人のトレーナが多くの会員を相手にサービス提供することを実現したのです。僕はこれを医療の世界でやりたいと思っていて、それを実現する舞台として様々なプロダクトと向き合っています。このエピソードは、やりたいことが先に浮かんで、どの事業でやるかが後に決まっている点で、意図的な公私混同だと言えると思います。
岩田さんからのおすすめの本
PMノート:プロダクトマネージャーにおすすめの本がありましたらご紹介お願いします!
岩田:実を言うと、人に本を薦めるということには限界があると考えており、基本的には自分の好きな本を読むことが一番だと思っています。(参考:”良い本”とは何か?|岩田彬広)
その本を読みたいと思うのにはそれなりの理由があるので、その理由を信じることが大事だと思います。
最後に
岩田さんのお話はいかがでしたか?
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PMノートではPdMインタビュー対象者を募集中!
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インタビュー内容など、詳細はこちらからご覧ください。
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