今回は、株式会社YOUTRUSTでプロダクトマネージャー(以下、PM)を務める竹中 優太さん(@comcom_career)に仕事内容やキャリア、マイルールなどを伺いました。
竹中さんは新卒で株式会社YOUTRUSTに入社後、法人営業や新規事業責任者を経てPMを担っています。若くして様々な職種を経験されつつも、それぞれでいち早く戦力となる取り組みや、竹中さんのマインドセットからの学びは多い。
成長段階の組織ならではの課題やそれに対する解決方法、セールスや人事などを経験しているからこそ発揮されるPMとしての強み、直近で新たに資金調達をしたプロダクトの成長戦略についてお話を伺いました。また、2ヶ月でPMとして立ち上がらなければならなかった状況下で、どのようなマインドで取り組んできたのかは今後PMに転身されたい方には必見の内容です。
目次
株式会社YOUTRUSTにてPMを担当
── まずはご自身の仕事について教えてください。
竹中:株式会社YOUTRUSTという会社でPMとして仕事をしております。YOUTRUSTはビジネスパーソンを中心としたユーザーに利用いただくサービスと企業様に採用目的に利用いただくサービスがあるため、
①ユーザー向けのキャリアSNS
②採用したい企業様向けのネットワークリクルーティングサービス
が対象になっています。
私の役割は2つのサービス全般のプロダクトマネジメントをしています。9月よりもう1名PMが入社予定なのですが、現在のPMは私ひとりしかいません。実質的に、私がすべての管掌領域を見ている形です。
── それぞれのサービスについてご説明いただけますか?
竹中:
①ユーザー向けのキャリアSNS弊社が運営しているキャリアSNS「YOUTRUST」は、「キャリア × SNS」という観点を大事にしています。友達とつながってメッセージのやり取りをしたり、タイムラインへの投稿・閲覧したりといった、一般的なSNS機能はもちろんのこと、友達のキャリアの節目や昇進のタイミングにお祝いコメントを送ることができます。また、転職や副業の意欲を表明する機能があり、意欲変更に応じて企業側から声がかかるように導線を整備するなど、新たなキャリアの可能性が広がる体験の提供に重点を置いています。
②採用したい企業様向けのネットワークリクルーティングサービス
YOUTRUSTを利用しているユーザーにスカウトを送ったり、求人募集を公開できたりする機能を提供しています。ネットワークリクルーティングサービスとはあまり耳慣れない言葉かもしれませんが、私たちは「ネットワーク型プラットフォーム」の必要性が増していると考えています。従来から続くエージェント型やダイレクト型のキャリア支援サービスに加え、ネットワークリクルーティングサービスがあれば、一人ひとりが持つ可能性をさらに広げることができます。未経験の職種や業種への転向から、副業や社会活動なども含めたパラレルキャリアの形成に至るまで、ネットワークの構築・拡大がもたらす影響は大きいと感じています。
── 経営陣のプロダクトマネジメントへの関わりや、竹中さんの上司に当たる方が誰か、その方がプロダクト領域にどのような関与をされているのかも教えていただけますでしょうか?
竹中:私の上司は取締役の金子です。金子との関わり方や役割分担についてですが、まず全社に関連したり大きな仕様変更を伴うようなプロジェクトの場合、仕様を相談するところから始まります。その上でどんなロードマップで進めていくかを金子が決め、一方で、プロジェクトの進め方や仕様などは私が意思決定を行っています。
進め方としては、週に2、3回ほどミーティングを組んでいます。そのミーティングでは、課題に対するアプローチや、プロジェクト推進における適切なアサイン、部署連携についてなどを相談しています。金子は取締役としてプロダクトに加えてビジネス全体も管轄しているので、プロダクト領域については比較的広く私に委譲されている体制になっています。
PMとしてのビジョン、価値観
── 次の質問ですが、プロダクトビジョンについて教えていただけますか?
竹中:プロダクトビジョンという形ではありませんが、社として「日本のモメンタムを上げる 偉大な会社を創る」というビジョンを掲げています。その1つの形として、自分のつながりやこれまで一緒に働いた人たちとの接点やネットワークから新しいキャリアの機会を得ることができるキャリアSNS「YOUTRUST」を作っています。
つながりを起点にしたキャリアの機会に出会えるということを根底に置きながら、ユーザーにとって価値のある体験を提供することを目指しています。
── Xや色々なメディアを通した印象と通ずる部分があるなと思いました。会社としての目指すべき方向性や実現したい世界観の部分と、個人でどのようなつながりをお持ちなのかをお伺いできればと思います。 竹中さん個人の価値観やキャリアビジョンとどう繋がっているのか教えていただけますか?
竹中:私の入社理由にもつながってきますが、大学時代にエンジニアやデザイナーは自分のポートフォリオが明確にあり、自分を表現しやすい一方で、人事や営業職などのビジネス職は自分自身を表現したり実績を証明する手段が少ないと感じていました。
自分の仕事やその実績が、他の人からみた客観的な評価で可視化できないか、客観的な評価で可視化されていれば信頼性も高いのではないかと思い、ビジネス職でも利用できるキャリアのポートフォリオを作れないかと学生起業を考えていました。そんな時にYOUTRUSTに出会い、キャリアSNSという形でその人のキャリアや実績、将来の目標を他のつながりや友人からも評価してもらえる場を提供している点に魅力を感じ、ここで働きたいと思いました。
自分のキャリアや過程の頑張りが可視化され、新しいキャリアに巡り会える世界は自分が人生を懸賭けて取り組んでみたいテーマです。
── 竹中さん自身のキャリアについてお伺いできますか?どのような価値観やビジョンを持っているのかも教えてください。
竹中:「元気に働く人が増える仕組みを作りたい」という思いが私にはあります。キャリアの節目を支援できる、転職や副業の機会を提供するYOUTRUSTは新しい仕組みを社会に提案できるサービスとして非常に魅力的だと考えています。また、キャリアSNSを通じて自分のキャリアの資産が蓄積されていくユニークなポジションを築けていると思います。
また、PMとして働く理由ですが、HR業界は多様性があると感じています。例えば、採用といってもエージェントによる転職やリファラル採用など、さまざまな形があります。キャリア選択において1つの価値提供だけではすべての人を元気にすることは難しい。だからこそ、多様なサービスを展開しながら、HR業界のゲームチェンジを仕掛けていきたいと思っています。
そのためには、ユーザーやクライアントの課題を特定し適切にサービスを立ち上げ、価値を提案し続けてグロースさせる力が大事です。もともと新規事業開発に関わっていたこともあり、PMとしてプロダクトを成長させる仕事は自分に合っていると感じています。
キャリアSNS「YOUTRUST」が向き合う課題と目指していく姿
── プロダクトの課題は何でしょうか?また、それをどのように解決されようとしているのかについて教えていただけますか?
竹中:YOUTRUSTの課題は、キャリアSNSとしていかに確立していけるかだと考えています。キャリアの節目や転職、副業を探すといった大きなイベント以外にも、普段からYOUTRUSTを使っていただくには、どんなコンテンツやストーリーがあれば楽しめるのかが重要です。
YOUTRUSTは多様な価値提供をしていると感じていますが、特に大きな体験としてはつながりをきっかけにスカウトが届く、つながりのある会社に出会いやすいといった領域がメインです。これは他のサービスにはないYOUTRUSTらしい価値ですが、転職顕在層にとっての価値に留まってしまっていると感じています。
今後は、まだ転職は考えていないが、キャリア形成について前向きに考えている転職潜在層に向けたSNSコンテンツを充実させていくことが重要でになってきます。
── 私も前職で転職サービスを運営している会社で働いていた経験があるので転職という意思決定をした顕在層に向けた価値提供や体験づくりについては思い出すものがあります。しかし、顕在層に対して価値を作り続けるという概念でサービスを選んでもらうのは難易度が高いと思います。YOUTRUSTさんは、どのようにその課題を解決しようと取り組まれているのか教えていただけますか?
竹中:コンテンツの拡充と初期体験の改善、この2つを柱にして取り組んでいます。
①キャリアに関するコンテンツの充実
直近でコミュニティ機能の大規模リニューアルをしました。例えばユーザー向けサービスのPMというコミュニティがあれば、共通した仕事の話ができたり、悩み相談ができる相手との新しいつながりが生まれたりします。目の前の仕事をより効果的に進めるための知見を得ることもできるかもしれません。
YOUTRUSTのコミュニティを通じて、転職や副業には直接関係しないが、目の前の仕事をもっと楽しむためや成果を出すための情報収集ができる場づくりを目指しています。また、自分のつながりの人が新しい会社に属したという情報や、過去に一緒に働いていた同期の職歴を追え、転職の顕在層だけでなく、転職潜在層も含めユーザー同士でもより一層楽しめるようにしていきたいですね。
②初期体験の改善
これまで機能追加や大きなアップデートに力を入れてきましたが、オンボーディング設計やサインアッププロセスなど、改善していきたい箇所がたくさんあります。
例えば、登録の際に、転職意欲が高い人と低い人が同じ体験をしてしまうと、最初にレコメンドされるコンテンツがスカウトを受け取ることや募集を見ることに偏ってしまっています。ユーザーの意欲に沿って適切なコンテンツを提供する仕組みやアルゴリズムを整備し、ユーザーごとによりフィットした初期体験の提供を目指しています。
具体的には、サインアッププロセスを見直し、ユーザーが最初に触れるコンテンツのレコメンデーションの最適化を考えています。これからもユーザーがより良い体験と感じていただけるよう、努めていきます。
── 今後のYOUTRUSTの進化が楽しみです。1ユーザーとしても非常に楽しみにしています。今の話と関連しますが、改めまして、先日Xでも大いに話題になっていましたが、資金調達おめでとうございます。社員の皆さんの一体感と熱量がすごく感じられましたが、社内も盛り上がっていたんですか?
竹中:熱量を感じていただいており嬉しいです!Xの拡散は、社員がイベントスペースに集まってひたすらリツイートする時間もあり、外から見えるほど中は明るくないというか、意外と地味な作業が多いです(笑)。もちろん、会社としての大きな節目をみんなで盛り上げる貴重な機会としての楽しさはありましたが。
── PMの体制は今後も拡大していく方向になるのでしょうか?
竹中:体制を拡大していきます。新規事業に関しては、専任担当を採用することも考えています。
「つなげる」ことを得意にしながらも、時には自ら補完するプロダクトマネジメントトライアングル
出典:The Product Management Triangle
── プロダクトマネジメントトライアングルに照らし合わせながら、竹中さんがどの領域を業務範囲として担っているのか、特に重点的に取り組まれている領域について教えていただけますか?
竹中:領域的には、Partnership Business Development以外はすべて私の業務範囲に含まれています。もちろんBusiness Developmentの領域にも関わることはありますが、完全に管掌範囲と言うには大げさかなと思っています。
特に重点的に取り組んでいる領域は、プロダクトとビジネスをつなぐ役割の部分です。例えば、マーケティングを担当するチームと協力して、どのようなユーザーに登録してもらいたいか、どのようなコンテンツが必要かを計画し、仕様に落とし込むところから始めます。そうしてすり合わせた開発内容を、プロダクト側のエンジニアやデザイナーと相談しながら実装方法を検討します。
── マーケティング組織と連携しながら、特定のユーザーにアプローチしてユーザーを獲得するというお話がありましたが、具体的な参考事例を教えていただけますか?
竹中:いくつかの事例がありますが、例えば現在も取り組み中の開発案件についてお話します。YOUTRUSTでは、FacebookやGoogle連携を活用したサインアップが可能です。しかし、それが原因でWebでFacebookサインアップしたユーザーがAppでサインインできない、またAppでAppleサインアップを使ったユーザーがWebにAppleサインインできない、といった問題が発生していました。
この問題について、マーケティングチームと話し合い、データを分析したところ、一定のユーザーがこの問題で困っていることが判明しました。そこで「サインイン・サインアップ失敗ゼロプロジェクト」を立ち上げました。
このプロジェクトではマーケティングチームと連携して、詳細な課題特定とその解決を目指す方針を作成し、サインインやサインアップの失敗をゼロにするための改善を進めていきました。この取り組みはユーザー体験を向上させるための良い連携事例だと感じています。
またこのプロジェクトが発足したのは、マーケティングチームが主導したユーザー登録を促すイベントでのユーザーボイスがきっかけとなっています。
── 企画開発のプロセスについてもお伺いしたいのですが、デザイナーやエンジニアと連携しながら機能をリリースしていくプロセスを教えていただけますか?
竹中:プロジェクトの発端は様々です。取締役や経営陣から依頼されるケースもあればPM主体で動かすケース、マーケティングチームやCLから要望が上がってくるケースもあります。何かしらの要望をもとに要求要件を定義し、仕様を作るのがPMの役割です。
仕様は、手戻りを防ぐため要望を出した関係者、デザイナー、エンジニアでレビューを行い、技術やデザインの観点も含めて確認をしてもらっています。仕様作成と並行して、デザイナーには要件をもとにデザインを作成してもらいます。デザインアウトプットと仕様アウトプットを並行して進め、最終的に仕様とデザインが完成します。
その後、エンジニアが設計を開始し、設計と実装を進めます。実装が完了したら、QA(品質保証)を行います。現状、QAエンジニアはいないので、PMが実際に動作確認を行うケースが多いです。仕様書と照らし合わせて確認し、修正がなければ外部にリリースします。
── データ分析についてもお伺いしたいのですが、この開発を進めるにあたって、どれくらいのボリュームがあるのかを試算したり、どれくらいのユーザーが困っているのかを定量化する役割もPMが担っているんですね。
竹中:データ分析もPMの重要な業務の一部です。例えば、ユーザーの行動データやセグメント比率を分析し、具体的な改善策を導き出すためにデータ分析を行います。私自身もデータ分析言語(SQL)を学んでおり、ユーザーの行動データを抽出し分析する役割を担うことも多いです。
── ユーザー向けプロダクトだと思うので、アクセスログやDBへのトランザクションデータなどもたくさんあると思います。データ分析を行う際に気をつけていることや工夫していることはありますか?
竹中:当社にはデータアナリストやデータサイエンティスト、データエンジニアが1人もいないため、私がデータ分析を担うことがあります。その中で、私が誤ったデータを出すと、それが誤った意思決定につながり、施策の失敗やプロジェクトの手戻りに直結してしまうので、重要な仕事だと認識しています。
自分が出すデータが正確かどうかを何度も確認し、実際の感覚と一致しているかを慎重に見極めるようにしています。
特にプロダクトマネジメント業務と並行してデータ分析業務を行うため、限られた時間内でデータを出さなければならない場面もあり、慎重に進めています。
2ヶ月でPMになるまでのキャリア
── 現在までどのようなキャリアを歩まれて、今の現在地点に至るのかを教えていただけますか?学生時代からファーストキャリア、そして現在に至るまでの経緯をお願いします。
竹中:私は神戸大学に通っていましたが、学業よりも課外活動に力を入れていました。学生団体で2年半ほど海外インターンシップの運営を担当し、人事の役割を果たしていました。また、長期インターンでキャリアエージェントやキャリアアドバイザー、法人営業、人事の仕事も経験しました。
株式会社YOUTRUSTに入社する前は、ベンチャー企業で取締役を務め、CHROの役割を担当し、採用・組織文化の設計、評価制度の策定などを行っていました。
株式会社YOUTRUSTに新卒で入社し、法人営業に配属。その後、新規事業の立ち上げに伴い異動し、新規事業責任者をしていたのですが、ビジネスサイドの経験しかなかったので、プロダクトの考え方やプロダクトを起点に事業をグロースさせる方法がつかめず苦労しました。事業全体のグロースを図る上でビジネスサイドだけでなく、プロダクトの知識も必要だと痛感しました。
その後PMに転向し、プロダクトとビジネスの両面から事業の成長を支えるためのキャリアを歩んでいます。
── 新規事業の立ち上げをやられたというお話がありましたが、その中身について教えていただけますか?
竹中:YOUTRUSTの既存プラットフォームを活用し、新しいプランの開発と新しい顧客層の開拓を目的に新規事業が立ち上がりました。具体的には低単価のプランを作り、既存のプランでは費用がネックになってしまう企業やスカウトを送るリソースを捻出できない企業に向けて、YOUTRUSTの募集機能を活用した募集に特化したプランを提供していました。
── 現在PMをされていて、新規事業の立ち上げを経てその後にPMになられたとのことですが、なぜ竹中さんがPMになられたのか、またその背景について教えていただけますか?
竹中:もともとPMが社内におりましたが、その方が組織を離れることになり、組織的にPM不在になってしまう状況になりました。ただ、新たにPMを採用するのは簡単ではないので、その方が離れるまでの約2ヶ月で誰かをPMとしてジョブチェンジさせるという人事判断がなされ、社内の適任者として、私が選ばれました。
当時のことはよく覚えています。取締役から「散歩に行こう」と呼び出され、その散歩中に「来週からPdM(PM)に異動」と言われました。新規事業の戦略を考えていたので驚きましたが、個人の課題感として新規事業でプロダクト領域に対する知見が足りず、伸ばしきれていなかった反省があったんです。会社としてもプロダクトを成長させることでの伸びしろが大きいと確信していたことと、PMというポジションに対して関心もあったので、「ぜひやらせてください」と2つ返事でした。そこから2ヶ月でPMとして立ち上がることを目標に一生懸命勉強を始めたのが、私のPMとしての第一歩です。
── 2ヶ月間は大変だったと思いますが、その期間についてお聞かせいただけますか?
竹中:とても大変でした。もともとエンジニアリングやデザインの知識もほとんどなく、データ分析についても何も分かりませんでした。プロダクトマネジメントトライアングルの全てが初めての経験だったので、本当に全てを自分で勉強しなければなりませんでした。分からないことは先輩に全て聞いて、盗まなければならなかったので、とにかく必死でしたね。
強化したい領域(Customer Insights)を伸ばす方法
出典:https://www.ravi-mehta.com/product-manager-skills/
── Product Executionの要件定義やProduct Strategyの戦略理解、Influencing Peopleのステークホルダー管理が強みと解釈できますが、特にどのあたりが強みや得意な領域だと感じていますか?
竹中:グロースにおけるテコとなる課題を決めることが得意です。常に課題を考え、解像度を高く持つようにしています。課題を決めた後は、ステークホルダーに合意を取りに行ったり、何をしたいかを伝えたりと調整を行う推進力も比較的強みだと思っています。
── これまでのご経験やインプットについて、どのようにスキル開発をされてきたのか教えていただけますか?
竹中:一言で言えばひたすら勉強して実践を重ねるタイプです。PMへの異動直後もそうでしたが、プロダクト領域に関する書籍は大方目を通しました。学んだことをその場で実践することができる環境が整っていたので、成長角度は高かったと思います。
具体的にはプロダクトマネジメントに関する書籍や記事を読み、学んだことをすぐに実践するようにしてきました。その結果、知識を深めるだけでなく、実際の業務での応用力も身につけられました。また、常に最新の情報やトレンドをキャッチアップするために業界のセミナーやカンファレンスにも積極的に参加しています。
要するに、ひたすら勉強し続け、学んだことを実践し続けることでスキルを磨いていく。これが私のスキル開発の基本的なアプローチです。
また、当初はデータ分析はミッションに含まれていませんでしたが、プロダクト開発を進める上でデータの重要性に気づきました。勉強すればなんとかなると思い、ProgateやUdemyなどのオンライン学習プラットフォームでSQLの勉強をしました。とにかく勉強し、実践で使い、レビューをもらうというサイクルを繰り返しました。
その結果、現在はデータ分析業務の6割ほどを1人でできるようになり、データ分析組織は私が兼務しています。地道に勉強し、実践し続けることで、これまでキャリアに必要なスキルを身につけてきました。
── 今後、伸ばしていきたいスキルや現在取り組んでいるスキル向上について教えていただけますか?
竹中:今後、強化したいスキルは2つあります。
①データ分析
現在は比較的簡単なデータ分析を扱っています。しかし、より高度なデータ分析やデータから必要な示唆を得る力、施策の効果測定に関連する分析はまだ不十分です。ここはより力を入れて取り組んでいきたいと考えています。
②UXデザイン
現在、正社員のデザイナーがいないため、UX領域は手探りでPMが兼務して進めている状況です。ユーザーにとって使いやすいものを設計し、UI/UXに落とし込む部分はYOUTRUSTにとっても特に強化したい領域です。理想は専門家にジョインいただきたいですが、私自身ももっと勉強する必要があると感じています。
マイルールは「結果を変えたければ変化を起こせ」
── 行動指針や大切にされているマイルールがあれば教えていただけますか?
竹中:以前から大事にしている言葉は、「結果を変えたければ変化を起こせ」です。目の前の結果を変えるには、自分の行動や身の回りの環境を変えるしかないというのが本質だと思っています。
例えば、エンジニアリングが分からなければ開発をしてみたり、データの領域がボトルネックになりそうだと感じたらデータ分析を勉強して対処してみたりする。不利益な結果は自分の能力不足が原因だと考え、自分が変化を起こすことで解決してきました。
この「変化を起こす」姿勢を行動指針として大切にしています。
── 受けている印象も含めて、一貫した姿勢が感じられます。ちなみに、その考えに至った何かきっかけや原体験があったのでしょうか?
竹中:具体的なきっかけを探すのは難しいのですが、学生団体の経験が大きいと思います。当時は、その団体の活動に熱中しており、深夜2時から4時までのミーティングも週3回ほどありました。私は若くして幹部を任されましたが、結果的に何もできず…ませんでした。結果が出ずに嘆いている時間が長く続きました。
その後、3年目に幹部を再度任された時に、「結果を変えるためには自分自身が変わらなければならない」と心に決め、とにかく行動を変えていくことを意識し、実践していました。
例えば人事領域の本を200冊読んでみたり、所属していた学生団体で歴史に残るほどの数多くの新しい施策を立てました。最終的には想定していたKPIも達成し、高い成果を上げることができました。この成功体験が私に刻まれているのかもしれません。
いいチームを作るためには「どんな時でも元気に挨拶をすること」
── いいチームを作るために何か工夫されていることはありますか?
竹中:これは前任のPMから教わったことですが、どんな時でも元気に挨拶をすることを特に大事にしています。
弊社は現在週3回出社の勤務体系になっています。エンジニアやデザイナーが出社し、せっかく顔を合わせるなら後ろ向きに大変なことを話すのではなく、「大変だけど頑張っていきましょう」と前向きなベクトルで挨拶し、仕事を進める方がお互いに気持ちも良いと思っています。
大変な時やシリアスな場面でも、わざわざ後ろ向きな空気を作るのではなく、少しでも元気に「ここから頑張っていきましょう」という空気を作ることを大事にしています。
── 大変な状況でもポジティブなスイッチを入れるために意識していることはありますか?
竹中:弊社のバリュー、YOUPROMISEの中に「元気は、利益。」という言葉があります。そこには「努めて元気であることが大事」と書かれています。努めてというのは努力の「努」です。
私たちはまだスタートアップ段階にあり、大変なことが多いのが現実です。しかし、そんな時でも努めて元気にやりましょうというのが会社として大事にしていることです。
個人的には、自分のメンタルを安定させるのが得意です。例えば、少し疲れたなと思ったら、いつもよりよく食べて、いつもよりよく寝るだけで次の日にはご機嫌に過ごせることが多いです。自分のメンタルコントロール、セルフコントロールが得意なので、しんどい時も自分のメンタルを保ち、みんなでいる時は元気に振る舞い、全体の空気感を良くするように意識しています。
── 先ほどのYOUPROMISEに共感されている方が多いからこそ、所属メンバーも同じような考え方をされている方が多いのでしょうか?
竹中:共感しているメンバーは多いです。取締役を含め経営陣が日頃から発信しているので、自然と浸透していると思います。
徹底的に「人に聞く」と「勉強する」で質の高い企画を提供する
── 質の高い企画や筋の良い打ち手を生み出すために何か工夫されていることがあれば教えてください。
竹中:自分だけで判断しないことです。PMとしての経験はまだまだこれからです。そのことをちゃんと認め、徹底的に人に聞くことや自分で勉強することを重視しています。
経験が豊富ではないという枕詞をつけましたが、今後どれだけ経験を積んでも、新しいものを聞いたり触ってみたり、現場のメンバーに意見を求めたりすることは絶対に続けていきたいと思っています。
雑談レベルで声をかけて、「考えずに答えてほしいんだけど、今こんなことを検討していて、AとBだったらどっちがいいと思う?」と聞くことも多いです。「こっち」と答えてもらったら、「なんで?」とさらに聞いていく。突然壁打ちをすることがよくあります。社内でも心当たりがある人は多いでしょうね。
竹中さんからのおすすめ本
── PM向けにおすすめの本があれば教えてください。対象は現役のPM、駆け出しの方、これから目指される方でも構いません。
竹中:私が最近読んで特に面白かった、心に刺さった本をご紹介します。それは「ソフトウェア開発現場の失敗集めてみた」という本です。確か2024年6月に出版されたばかりです。この本は読んでいて自分自身に刺さる部分が多かったです。
まず、気になるキーワードがたくさん散りばめられています。例えば、「全部入りソフトウェアはダメ」とか、「八方美人仕様はダメ」、「ふんわり仕様ってよくない?」などです。これだけで「自分のあの取り組みが該当してしまう」と思い当たることが多かったです。具体的なケースで書かれているので、ご自身が直面している課題の何かヒントになるかもしれません。
さらに、PMは業務範囲が広く、どこかが伸びていてどこかが凹んでいることが多いと思います。すべての領域で高い水準を出すのは難しいですが、どんなPMでも何かしらの課題や現在の役割に対して思い当たる部分があるはずです。この本を読むことで、今の課題や困り事を客観視する手助けになると思います。
最後に
竹中さんのお話はいかがでしたか?
さまざまな質問にご回答いただき、たくさんお話を伺えて非常に楽しい時間でしたし、勉強になりました。竹中さんのお話を聞いて、随所で「凡事徹底」、つまりやりきることの重要性が感じられました。過去のストーリーでも、学生団体で苦戦しながらも、人事領域の本を200冊読むなどをやりきり、成功体験を積み重ねてきたのだと思います。
法人営業から新規事業の立ち上げに挑戦し、PMとして2ヶ月で立ち上がるという難題を乗り越えて、現在のご活躍に至っている竹中さんのポテンシャルやスタンスが評価されているのだと思います。今後のYOUTRUSTの進化が楽しみです。1ユーザーとしても期待しています。本日は貴重なお話とお時間をありがとうございました。
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