
どうも、マツバラヤスユキ(@yaspontax)です。
プロジェクトマネジメントで登場する役割の一つである
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の役割と仕事内容について解説します。
プロジェクトマネジメント初心者の方を対象としておりますが、
既にPMとしてご活躍されている方にも一般論としての体系的な知識をご提供できればとの思いで書いておりますので、ぜひお読みください。
目次
PMOとは
Project Management Office(プロジェクトマネジメントオフィス)の略で、組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援を横断的に行う部門や構造システムのことです。
組織において複数の部署やチームが複雑に係わるようなプロジェクトが多数存在するような場合に、全体を俯瞰したプロジェクトマネジメントの実現と、個々のプロジェクトを円滑に推進する為にPM(プロジェクトマネージャー)のプロジェクトマネジメントを支援することを目的に、PMOが必要とされます。
詳細は、後述しますが、個別のプロジェクトに責任を持ちプロジェクトの終了とともに解散するPMをはじめとするプロジェクトチームとは異なり、恒常的な部署やポジションとして設置されることが一般的です。
PMOの歴史として、PMOの考え方は1929年のアメリカのニューディール政策によるテネシー川流域開発事業の頃に誕生し、1990年代以降から本格的に導入されるようになったようです。
なお、組織やプロジェクトの規模によっては、Program Management OfficeやPortfolio Management Officeと呼ばれることもあります。
PMOの役割と仕事
PMOの主な役割と仕事内容は、以下の通りです。
- プロジェクトマネジメント方式の標準化
- プロジェクトマネジメントに関する研修など人材開発
- プロジェクトマネジメント業務の支援
- プロジェクト間のリソースやコストの各種調整
- 個別企業に適応したプロジェクト環境の整備
- その他付随するプロジェクト関連管理業務
プロジェクトマネジメント方式の標準化
PMOは、プロジェクトマネジメント方式の標準化を行います。
各プロジェクトにおいて、最適なプロジェクトマネジメント方式は異なりますが、PMOが標準を用意することで、PMが一から考えて用意するのではなく、PMBOKで言うテーラリング行為と同様に、プロジェクトの前提条件や規模、状況に合わせて選択をし、必要に応じて改変しながらプロジェクトマネジメントを実施できるようになります。
属人化したプロジェクトマネジメントではなくなり、組織全体のプロジェクトマネジメント精度の向上に貢献します。
標準化の対象としては、以下のようなものが挙げられます。
挙げればキリがないですが、組織の規模や成熟度によって選択すると良いと思います。
- 開発手法(ウォーターフォールやアジャイル等)
- 開発言語
- コーディング規約
- デザイン標準
- システムアーキテクチャ
- 開発環境
- ロール(権限)
- 工程別の成果物
- 品質基準
- 各種ドキュメントフォーマット
- コミュニケーションツール
プロジェクトマネジメントに関する研修など人材開発
PMOは、プロジェクトマネジメントに関する研修や勉強会を開催し、人材開発を行います。
組織内のプロジェクトマネジメント能力の向上の役割を果たします。個々人の自己努力に任せてしまうのではなく、PMOが主導してプロジェクトマネジメントに関する知識提供やノウハウ共有、事例紹介などを行います。
プロジェクトマネジメント標準の導入と運用においても、研修や勉強会を実施しながら、プロジェクトチームの実情にあったものに適宜改善をしていくことが望まれます。
プロジェクトマネジメント業務の支援
PMOは、状況に応じてプロジェクトマネジメント業務の支援を行います。
PMのスキルセットや経験、プロジェクトの状況によって、支援の要否も支援内容も変わります。
ご参考までに、一例を以下に挙げます。
立ち上げフェーズ
- プロジェクト憲章作成の支援
- ステークホルダーに関するドキュメント作成
計画フェーズ
- 各種プロジェクトマネジメント計画の支援
- プロジェクト計画書の作成
実行フェーズ
- 成果物作成マネジメントの支援
- 成果物作成の実行補助
監視・コントロールフェーズ
- 品質管理・進捗管理・工程管理等のチェック機能
- 変更管理マネジメント
終結フェーズ
- 終結ドキュメント作成
- プロジェクトふりかえり会の開催を支援しプロジェクトを通して得られた教訓や知識の組織化
プロジェクト間のリソースやコストの各種調整
PMOは、組織内で複数存在するプロジェクト間のリソースやコストの調整を行います。
各プロジェクトに責任を負うPMとしては、当然、自分が担当するプロジェクトが最も重要で、リソースを優先させたい、予算を確保したいと考えております。そんなPM同士が社内のリソースやコストを調整しようとすると、パワーバランスや政治力による部分最適な結果になってしまう可能性があります。そんなことが発生しないように、PMOが全体最適を見ながら調整する必要があるのです。
個別企業に適応したプロジェクト環境の整備
PMOは、所属企業に適応したプロジェクト環境の整備を行います。
PCなどの物理環境整備から会議招集、議事録作成、プロジェクトメンバー管理、体制図、スケジュールの最新版の更新、プロジェクト内での情報を共有するための情報整備など、所属企業やプロジェクト特性に応じた環境整備を行います。
その他付随するプロジェクト関連管理業務
PMOは、その他付随するプロジェクト関連管理業務を行います。
その他付随するとあるように、定義できるものではありませんが、PMOはプロジェクトメンバーとは切り離されている立場である為、プロジェクトのおかれている状況を把握しながら先を見て次のフェーズやプロセスに対して何を準備しておく必要になるだろうか、どんなリスクが想定されるだろうかということを考え、プロジェクトを円滑に推進できるようにプロジェクトマネジメント支援を行うことが求められます。
なお、PMとプロジェクトメンバーとの意思疎通をサポートする役割を担っているPMOもあるようで、直接的にプロジェクトに携わらないからこそ、ちょうど良い距離感でコミュニケーションできるのかもしれません。
PMOの役割について解説しましたが、組織やプロジェクトによって必要とされる役割も業務内容も異なることがお分りいただけたかと思います。
プロジェクトチームとは別の立ち位置で、プロジェクトの状況に注視しながら、適切な支援を行うという非常に難易度の高い役割となりますが、組織内で複数のプロジェクトが発生する場合に全体最適を図りプロジェクトの成功確率を高めようと思うと、PMOを設置することを検討してみても良いかもしれません。
PMOに関する参考書
PMOについて、深く学びたい方はぜひ読んでみてください。
以下からamazonサイトへ移動して購入できます。