IT企業におけるプロジェクトとは?グロースハックと比較

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企業が存続し、世の中に価値を提供し続けるためには、売上・利益を継続的に出し、伸ばしていく必要があります。

IT企業においては、ITサービス、サイト、メディアを成長させていくことが、売上・利益の向上に直接的に繋がることが多いかと思います。

それらの成長を進めるとして様々な手法があるかと思いますが、今回は、「プロジェクト」と「グロースハック」に注目したいと思います。

なお、具体的な施策論ではなく、進め方などのプロセスに焦点を当てて考えたいと思います。

 

プロジェクトとは?

「独自のプロダクト,サービス,所産を創造するために実施される有期性の業務」と定義されています。

つまり、会社などの通常業務や継続的な運用管理、あるいは改善活動などは、

特に開始と終了が定義されていないため、「プロジェクト」とは呼びません。

ただし、特定の期限までに製品を開発する、システムを構築する、などはプロジェクトとなります。

あの有名な「アポロ計画*」もプロジェクトです。

ただし、規模が大きいからプロジェクトなのかとおいうとそうではなく、

小規模なものでも、期限が明確で、独自性のある活動であればプロジェクトとなります。

*アポロ計画とは

アポロ計画(アポロけいかく、Apollo program)とは、アメリカ航空宇宙局(NASA)による人類初の月への有人宇宙飛行計画である。1961年から1972年にかけて実施され、全6回の有人月面着陸に成功した。

アポロ計画(特に月面着陸)は、人類が初めてかつ現在のところ唯一、有人宇宙船により地球以外の天体に到達した事業である。これは宇宙開発史において画期的な出来事であっただけではなく、人類史における科学技術の偉大な業績としてもしばしば引用される。

引用:アポロ計画 – Wikipedia

プロジェクトの流れとしては、

立ち上げフェーズにおいて、

プロジェクトの目的や目標を明確にし、

プロジェクトオーナーの承認を得ます。

その後、

計画フェーズにおいて、

スコープ、コスト、スケジュール、リスク、ステークホルダー、品質等を

詳細に計画し、

実行フェーズ→監視・コントロールフェーズ→終結フェーズ

と進めて行きます。

 PMBOKという、以下のように各プロセス・知識エリアごとにプロジェクトを成功に導くための知識が体系的にまとめられているものがあります。

PMBOKガイド第5版では、47個のプロセスを、幅広いプロジェクトに適用可能な5個の基本的なプロセス群と10個の知識エリアとに分類されております。

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グロースハックとは?

ちゃんとした定義は見つかりませんでしたが、

高速PDCAサイクルを回しながら、

サービス・商品の分析・改善・反映・効果検証を実施し、

事業・サービスを成長させていくこと、といったところでしょうか。

以下に分かりやすくまとまっていたので、引用しておきます。

グロースハックで具体的に何をするのか

では、実際にウェブサービスやアプリの成長のために「グロースハックをしていこう!」となった時に、具体的に何をすればいいのかというのは非常に悩ましいところです。この言葉を意識しなくともグロースハックは包括的にサービスの成長そのものを目指していく取り組みなので、本格的にやっていくと非常に奥深くて泥臭い作業の繰り返しで、しかも全体設計を行う難易度も高い活動です。

例えば目的であるサービス成長への課題はサービスによって大きく異なりますし、改善点の仮説設定のセンスも非常に重要です。そしてもちろん、ウェブサービスやアプリの場合はシステムをいじる必要が出てくる可能性もあるため、プログラミングの知識理解もあるといいでしょう。さらに場合によっては、そのチーム組織編成を変えることで成果が上がる可能性もあるということで、組織体制まで手を入れた方がいい場合さえもあります。以降ではグロースハックのTo Doをより体系的に整理していこうと思います。まずグロースハックの全体の活動プロセス自体は以下の通りシンプルだと考えています。

まず、核となる使いたくなるサービスや機能を作ります。(ユーザーが使いたくなるサービスがあることが前提です)。そして、それを運用していく中で課題を見つけて現状を把握します。次にそれを解決する仮説とKPIを立てます。そして改善する機能やサービスの設計をしていき検証します。最後にその数値改善が見られる形を実装して改善していきます。グロースハックは成長を目的に商品・サービス内に手を入れることも志向しておりますので、必要に応じて改善だけではなく、商品・サービス全体の作り直しに戻ることもありえます(図の点線)。グロースハックとはサービス改善のPDCAを高速で回すといったことに他ならないのですが、サービスの本質的な価値を見つめなおすこともグロースハックの手段として重要だということです。

具体的な改善の手段はプロダクトの設計と同様に階層性があると考えています。今回の連載ではウェブサービスやアプリのグロースハックが対象ですので、それで考えて整理すると以下になります。

まず、計測できる成長・改善が前提のため、全体を支える分析トラッキングのレイヤーが存在します。ユーザー情報、ログを必要に応じて取っていきます。分析ツールでモニタリングをしていくことがインフラとして根幹にあります。時にはその分析ツール自体を変更することも考えられます。今後の連載で具体的なツールも必要に応じてご紹介いたします。

そして、機能改善レイヤーです。例えばページのUI(ユーザーインターフェース。ボタンの大きさやレイアウトなど、表示や入力に関わる操作感や画面構成の総称)変更もわかりやすい改善です。ABテストやLPO(ユーザーを最初に誘引するページの最適化)、サーバーのアップグレード、サービス内キャンペーンやセールの実施、アプリの場合はプッシュ通知の実装や配信強化、お問い合わせページなどフォームのデザイン最適化、新規ユーザー用の招待コードの実装、初回チュートリアルの改善、サポートQ&Aの設置など、ソースコードを書き換えて、単体の機能改善を実施することを指しています。

前述の通りグロースハックは非常に包括的な手法全体とマインドセットを指しているので「ABテストをしたから、グロースハックだ!」というと、部分的には正解かもしれませんが、この全体像があった上でABテストをはじめとした手段があるという位置づけなのです。

もう1つ上のレイヤーは設計変更レイヤーと呼んでいます。例えば課金のページまでの導線設計の変更や、サーバー構成の最適化、SEOによる全てのページのコード書き換えとテンプレート変更、全体のデザイン刷新など、サービスの複数機能や全体へ影響を及ぼす範囲を変更する方法です。ただ、例えばソーシャルゲームの招待コードを新規に入れるとなった場合は、データベースの構成も変えないといけないですし、場合によってはサーバーのスケールアップを検討した方がユーザーへの体験価値が向上するかもしれないなど、機能改善レイヤーとの垣根はあまりない場合もあり、密接にかかわっています。

最後は戦略レイヤーと言っています。ニーズの再定義や会話で言うと、「そもそもこのサービスをユーザーが欲しがっているのか」「このサービスのユーザー体験価値は何なのか」「競合との中でどういう位置づけなのか」といったことや、チームに着眼して「このチームのエンジニアの人数は最適なのだろうか」など、そもそものサービスやプロダクトの存在や運営全体を考え直すことも見落としがちですが重要なグロースハックの手段です。

以上のように、結局グロースハック自体が「サービスやプロダクトの成長のために(主に開発面で)何でもするぞ」ということで、私が作った上記の図も全ての手段がまだ捉えきれていないと思います。そのくらいグロースハックという手法は包括的なのです。

引用:最近流行りのグロースハックって何? – 電通報

こちらも参考になります。

グロースハッカーに必要な資質 ABCDE とは?

グロースハッカーには多様な資質やスキルが求められています。自分の会社を大きく成長させることができるグロースハッカーは下記の5つの資質を持っている人たちです。

Analyticity : 分析的
グロースハッカーはVanity Metrics (無価値な指標)に囚われるのではなく、会社の成長に貢献できるActionable Metrics(行動を可能にする指標)にフォーカスしなければなりません。そのためにグロースハッカーは分析し、成長のエンジンになっている要因(先行指標)を突き止めて行く必要があります。

Broad interest : 広い好奇心を持つ
グロースハッカーは、他の人が持っていない観点から質問を投げかける必要があります。(例:なぜこのカスタマーは、商品Aを買った時は商品Bを買わないのだろう?)そのために、広い好奇心を持ち、観察をして、インサイトを見つけていくスキルが必要です。

Creative : クリエイティブ
一番重要なスキルはクリエイティブであることです。従来のマーケティング手法に頼らないさまざまな施策を考え、実際に試していける人であること。グロースハックはサイエンス(科学的)であると同時に、デザインやUser Experienceについても深く関わるのでアートでもあります。

Discipline : 自らを律する
クックパッドでグロースハックを担当している加藤恭輔氏は著書で、* ”グロースハック、グロースハッカーの仕事はひたすら地味である。*メールの下に一行のメッセージを追加する、ボタンの色を変えてみる、などサービスそのものに手を加えてトライアルを繰り返していく必要がある” と述べています。プロダクトの成長に対して自らを律し、全てを賭せる人でなければなりません。

Empathy : 共感的である
共感的であること。グロースハッカーはユーザーがプロダクトに対してどんな気持ちを抱いているかを感じ取り、次の施策に反映させて行かなければなりません

グロースハックとはマインドセットである。

グロースハックでは1日1%を成長させる意識が重要です。
なぜなら、1日1%も一年経てば、複利計算で38倍成長できるからです。

クックパッドの加藤恭輔氏は、グロースハックにますます磨きをかけて、3年間で400万のプレミアムユーザーを獲得するとプレゼンで宣言しています。継続的な検証と小さな改善を繰り返すマインドセットが、優秀なグロースハッカーになるためには必須です。

グロースハッカーになるのに必要な3つのスキルとは?

グロースハッカーはお金(予算)を使わずに成長エンジンを構築するスキルが必要になります。そのために必要な三つのスキルを上げてみました。

① お金をかけないで高いユーザーエクスペリエンスを設計する力

ユーザーエクスペリエンスの構築力は、グロースハッカーだけではなく、これから価値のあるサービスや商品を生み出そうとする人には必須の能力でしょう。

UXデザインこちらのブログで詳しく書いていますが、プロダクトを作る前に、ペルソナ像を構築して、カスタマージャーニーマップを作り上げ、常に改善をしていくプロセスを身につける必要があります。

② お金をかけないで分析を行う力

グロースハッカーは、まずユーザーエクスペリエンスデザインを行い仮説を立てます。そして、その結果を分析力を駆使して、検証する必要があります。Google Analyticsなどの無料分析ツールは使いこなせるようになりましょう。

③ お金をかけないでプロダクトを改善力

グロースハッカーは、技術にもある程度精通している必要があります。
何が技術的に実現可能なのか、どういう改修・改善が、ローコストでハイリターンのかをすぐに見積もり、開発者に指示を与える必要があるからです。

Webサービスのグロースハッカーになりたい人は、最低限でも、
HTML, CSS, JavaScript, UX Design, Google Analytics, Illustrator/Photoshop
などの知識を身につけましょう。

引用:グロースハックとは何か 最もホットな仕事 グロースハッカーとは? – [Skillhub (スキルハブ)]

 

IT企業におけるプロジェクトの意義とは

私個人の経験の中でもプロジェクトの経験が多く、

PMPを取得したのもプロジェクトの成功確率を少しでも向上できればと思い、

PMBOKを勉強し、取得しました。

最近は、役割・立場が少し変わり、グロースハックを行うことも出てきた。

やれているかどうかは別として。

そんな中で、IT企業におけるプロジェクトの意義を考えると、

SIerにおけるシステム開発のようなものは単純にプロジェクトとして捉え、

プロジェクトは無事成功させるためにプロジェクトマネジメントを実施すれば良いと思うが、

事業会社やサービス提供者として、新規サービス構築やサイト立ち上げのようなものは、

あくまでもプロジェクトであることは間違いないのだが、

グロースハックの視点を併せ持ち、プロジェクトマネジメントを実施できると良いのだと思います。

間違いなく、プロジェクトが終結したのちは、

グロースハックのフェーズに移り、プロジェクトにて作り上げたサービスを継続的に成長させていくことになるのです。

その後、ある程度期間が立ち、

グロースハックでの積み上げの改善のみでは社会の流れや技術革新についていけなくなり、

サービスの根幹を作り変えることになった場合、

再度、プロジェクトを実施し、新たなサービス構築のプロジェクトを実施することになるのだと思います。

そのため、グロースハックが話題となりチヤホヤされているが、

IT企業におけるプロジェクトはなくなることがないのだと思います。

以上。